【毎日書評】ストレスフルな環境から抜け出す「ストア哲学」が与えてくれる心穏やかに生きるヒント
蔑んだり、見下したりしない
友人が不運に見舞われているときに、自分がうっすらと満足感を覚えるというのは珍しい感情ではありません。何しろ、ゴア・ヴィダル(アメリカの小説家・評論家)は次のような有名な言葉を残しています。 「友人が成功をおさめるたびに、私は少しずつ死ぬのだ」 それはおそらく、無意識のうちに友人に対して競争心を抱いていて、人生には勝つか負けるかしかないと信じているからでしょう。友人が何かの損害を被れば、あなたは無意識に、自分は損害を免れたとか相手ほど不運ではないと感じるのです。こういう考え方は非論理的ですが、ありがちです。(339~340ページより) しかし、他人の不幸に喜びを感じるのは、私たちのせいではないはず。単に、私たちが無意識のうち、互いにしのぎを削るようにつくられているにすぎないのです。人生であれ資源であれ、欲しいものはすべて自分が取るか、相手が取るかになっているわけです。全員が十分に分け前を得ることは不可能で、誰かが勝てば、必然的に誰かが負けるということ。 しかし、決してそんなことはないのだと著者は強調しています。とくにストア派のように、品性、他人にどう接するか、そして物事への反応など、自分がコントロール可能な範囲のものだけに成功をしぼって「勝利」を判断すれば、私たち全員が勝者になれるのだと。これは、非常に理にかなった考え方であるといえるのではないでしょうか。(339ページより) 人生には、不意を突かれたり、なにかを失ったり、悲しみに暮れたりせざるを得ないことが起こるもの。だからこそストア哲学の考え方を参考にしながら、つとめて前向きに、さまざまなことを受け入れて行動したいものです。 >>Kindle unlimited、2万冊以上が楽しめる読み放題を体験! Source: ディスカヴァー・トゥエンティワン
印南敦史