結論先送りに「まだ何をおやりになる?」森氏と小池氏がバレー会場案で応酬
「クリスマスまでに最終結論を出したい」 「クリスマスまでにまだ何ををおやりになる?」 29日に行われた4者協議。東京五輪組織委の森喜朗会長と東京都の小池百合子知事の間で競技会場見直しをめぐり、応酬があった。
「404億円はずいぶん高い」
この日の協議で結論が出なかったのがバレーボール会場だ。当初計画の有明アリーナを新設する案と、都政改革本部が提案した既存施設の横浜アリーナを活用する案で決着がつかず、先送りされることになった。 「あとしばらく時間を頂戴したい」。小池知事は、既存施設の最大限の活用などをうたったIOCの「アジェンダ2020」を持ち出して横浜アリーナ案の経緯に触れ、確認したいことがあるとして、クリスマス時期まで結論の猶予を求めた。IOCのジョン・コーツ副会長を含め了承されたが、森会長は「ちょっと私からいいですか」と切り出した。 「今日の時点で有明か横浜か結論が出せない。クリスマスまでにまだ何をおやりになる?」 小池知事は、横浜アリーナ案で課題とされている観客導線などの問題を挙げて、その精査をすると述べ、「(有明アリーナの)404億円は類似会場と比べてもずいぶん高い」と建築の観点から見直すと反論した。
「横浜は受け入れてくれるのか」
「横浜は合意しているのか。それが一番大事なこと」。森会長は今度は自治体などの受け入れ状況についてただした。横浜市側も急に出てきた話で驚いているのではないかと言い、「われわれも(他県に)お願いしたが、みなさんと合意を取り付けてからIOCに相談に行った。あと1か月で合意は取れるのか」と迫った。 小池氏は「(横浜市からは)お決めいただいたらぜひやりたいという言葉をいただいた。ただいろいろと立場があります、ということだった」と回答。「くどいようだが横浜は受け入れてくれると判断しているのですね?」と念押しする森会長に、小池知事は「そう期待しています」と応じた。
高いハードル
ただ、残り1か月のスケジュールで横浜アリーナ案と結論を出すには高いハードルが立ちはだかる。この日の協議で、組織委の武藤敏郎事務総長は「横浜市のサポートも現時点では取れていない不確定性があるので、有明と比較するだけの条件が整っていない」と指摘した。今後どのような交渉や準備が必要かの問いに対して、IOCのクリストフ統括部長は、観客導線や警備の問題を確認するには、施設の詳細な運営計画が必要だと説明。また合意についても、自治体だけではなく民間の地主らもいるとして「横浜でやるならすべての合意が整っていないといけない。立候補時にお願いしているような作業。大変な作業になる」との見方を示した。
ラストチャンス
協議後の囲み取材に登場した森会長はにこやかだった。クリスマスまでの猶予を申し出た小池知事に対して「少しでもいいものにしよう、安くしようという努力は評価している。でも僕らも2年半かけてやってきた」と強調した。続いて現れた小池知事。「できない理由を集めるのは簡単。どんな会場にもある」と主張した後、「私たちは最大限の努力をしている。これはラストチャンス」と語った。 ■4者協議の全編動画&囲み取材