今後はAIもフル活用!? ナイキとエアの現在と未来
AIを活用すれば、デザイナーはもっとより良いデザイナーになれるのです。最先端のツールを使えば、今まで以上に速いペースで、アスリートの夢を形にしてくことができるでしょうし、それを凄く楽しみにしています」
イノベーションはアスリートの声から始まる
数々のイノベーションを生み、スポーツシーンを牽引しているナイキ。常に最先端であり続けられる理由はどこにあるのだろうか。 「ナイキのイノベーションというのは、未来が明るいものであるという楽観視から生まれるものだと思います。そして未来がスポーツにとって、アスリートにとってより良いものになるために、デザイナーやエンジニア、科学者が、熱意を持って、私たちがスポーツを進化させると思いながら仕事をしています。 そして、やはりイノベーションはアスリートの声から始まります。私たちは最高のアスリートたちと協力をしていて、彼らがさまざまな希望や夢を教えてくれます。アスリートの声を起点とし、どうしたら問題を解決できるのか、どうしたらスポーツを進化させることができるのか、どのようにアスリートをサポートできるのかを考え、探索と実験が始まっていきます。 探索と実験の間にはさまざまなことが起こり、もちろん失敗もします。しかし、失敗から学び、修正をして、進歩していきます。試行錯誤の中で学びを得ていくわけです。そして、探索と実験には終わりがありません」 サステナビリティもナイキの重要なテーマのひとつだ。 「私は15年間チーフ・デザイン・オフィサーの仕事をしてきましたが、仕事をするうえでの大きな理念が、機能を持ちながらも環境に良いものを作るというものでした。機能性に妥協することなく、環境への影響が少ないもの。最高レベルの機能性と、最低レベルの環境負荷ということを常に考えています。 2020年に発表したスペース ヒッピー(廃棄物を活用し炭素排出量を大幅に抑えたコレクション)も大きな進歩だったと思います。サステナビリティについては個人的にも思い入れがあり、スポーツを未来の資産にするために非常に重要なことだと考えています」 ナイキ歴は30年。15年のチーフ・デザイン・オフィサーを経て、チーフ・イノベーション・オフィサーとなったジョン・ホーク氏。今後はどのような仕事をしていくのだろうか。そしてナイキはどこへ向かうのか。 「今日の世界では、A.I.Rのプロジェクトで活用したような新しいテクノロジーが次々に生まれ、進化をしています。NSRLで取得できるデータも増え、またそのデータに新しいテクノロジーを通すことで、今まで見えなかったものが見えるようになったりすることもあります。テクノロジーを生かせば今まで以上に精巧なものづくりができ、今までよりもスピーディにアイディアを形にすることができるでしょう。 一方で、テクノロジーが進化している時代だからこそ、よりスポーツの重要性が増していくとも思います。ナイキにフィニッシュラインはありません。良いものができたとしても、それは一時的なことでしかないのです。イノベーションのリーダーとして、常に次のベストを目指し、アスリートの未来をよりよくしたいと思っています」