巨大カップ 人工島と共に変遷 UCCコーヒー博物館 昭和100年 まちの今昔
来年4月開幕の2025年大阪・関西万博と同じ関西で、43年前に開かれ、注目を集めた博覧会がある。昭和56年に神戸港に造られた人工島、ポートアイランド(神戸市)のまちびらきに合わせ開催された地方博覧会「神戸ポートアイランド博覧会(ポートピア′81)」だ。同博覧会の企業パビリオンとして唯一現存する「UCCコーヒー博物館(旧・UCCコーヒー館)」は、レジャースポットとして人気を集め、ポートアイランドの変遷とともに歩んできた。 ■地方博で注目 「ポートピアに足を運んだ世代で、UCCコーヒー館が印象に残っている人は多いのではないか」。UCCジャパンサステナビリティ経営推進本部コーヒーアカデミー学長で、同館館長も務める栄秀文さん(63)は、そのインパクトの大きさをこう推測する。 海上都市作りの一環と位置付けられた神戸ポートアイランド博覧会は、昭和56年3月から約半年間開かれ、会期中約1610万人が来場。ポートアイランドの名を国内外に知らしめた。旧・UCCコーヒー館は同博覧会のパビリオンとして出展。個性豊かなパビリオンが並ぶ会場で、巨大なコーヒーカップ型のパビリオンが大きな注目を集めた。 同パビリオンでは世界のコーヒー文化を紹介。会期中約460万人が来場した。また、パビリオンの隣接ステージでは、南米を中心としたコーヒー生産国の歌やダンスなどが連日披露され、計約80万人の観客を動員。地方博でありながら国際色豊かな博覧会としての評判を高め、ポートアイランドの存在感をアピールした。 ■震災乗り越え 博覧会閉幕後、多くのパビリオンが解体・撤去される中、UCCグループの創業者、上島忠雄氏の「コーヒーのすばらしさを一人でも多くの人に伝えたい」とする強い思いから、「パビリオンの躯体を活用した大規模改修に着手した」(栄さん)。改修中、世界中からコーヒー関連の展示品を集めるなど、開館準備を進め、昭和62年10月、UCCコーヒー博物館として生まれ変わった。平成7年1月17日の阪神・淡路大震災では、ポートアイランド内の至る所で液状化現象が発生。同館も液状化現象に見舞われたが、被災地の文化復興を目指し、約2カ月半で復旧再開した。 その後、19年にコーヒーを体系的に学べる教育機関「UCCコーヒーアカデミー」を館内に開校。25年には館内展示室を全面改装するリニューアルを実施した。