「質量」と「重さ」は同じではないの...?「詰まっている物の量」で考えたら、じつにシンプルだった「納得の意味」
あっと驚く面白さ。誰でも理解できる爽快さ。 アメリカの大学で長く物理学の人気教授として活躍してきた山田克哉さんの「白熱講義」から生まれた、ブルーバックスを代表する人気企画「からくりシリーズ」。 そのシリーズ最新刊である『重力のからくり』がベストセラーとなっています。「弱すぎる重力」はなぜ、宇宙を支配する力になりえたのか? 万有引力のふしぎを徹底的に解き明かす同書の読みどころを厳選してお送りします! *本記事は、『重力のからくり――相対論と量子論はなぜ「相容れない」のか』の内容から、再編集・再構成してお送りします。
「質量」と「重さ」の違いとは?
「重力とはなにか」「その本質とはどのようなものか」──これらの問いに対して、その答えを探っていくのが『重力のからくり』を執筆した目的です。 「重い力」と書いて重力ですから、「重さ」と「力」がキーワードになることは予想がつきますね。まさしくそのとおりなのですが、それではみなさん、「重さとはなにか」「力とはなにか」と問われて、明快に答えることができますか? 「重さ」も「力」も、あまりに日常になじんだ言葉であるためか、その“物理的な意味”は案外、理解できていないものです。また、「重さ」とよく似た言葉に「質量」がありますが、両者の違いを明確に答えることができるでしょうか? そこでまずは、「質量」と「重さ」の違いを考えることから話を始めましょう。それは、「重力」の核心に迫っていく準備運動としても役立つはずです。 子ども向けの科学の本では、「質量」という言葉は使われず、「重さ」と表現されています。大人の世界ですら、日常生活において「質量」という言葉を使う機会はほとんどありません。一般向けの物理の啓蒙書でも、質量の代わりに重さが使われているケースがままあるようです。 「質量と重さは同じ」ということなのでしょうか? 「質量」という言葉はどこか抽象的に聞こえ、「重さ」のほうがより具体性を帯びているということなのかもしれません。