なぜヤクルト“ドラ1”奥川恭伸はデビュー戦でプロの洗礼を受けたのか…「昨夏甲子園の方が良かった」との厳しい指摘も
マウンド上で苦笑いを浮かべた奥川は、「初めて神宮のマウンドにあがって緊張感もありましたが、たくさんのヤクルトファンの方々の声援もあり、気持ちよく思いきり投げることができました。状態としてはあまり良くなかったです。初めてのマウンドにも対応できなかったし修正ができないままズルズルといってしまい早い回での降板は非常に悔しいです」というコメントを出した。 デビュー戦の緊張に加え、初体験となる神宮のマウンドの高さや硬さに戸惑い、思ったようにボールを操り、腕を振れなかったとの後悔がある。 ヤクルトのスカウトの責任者として30年以上、選手発掘に尽力、多くのルーキーのデビュー戦を見てきた片岡氏は、辛辣な感想を口にした。 「プロでどれだけ成長しているのかと期待をして見たが、むしろ劣化していてガッカリした。彼が本来持っている実力の10パーセントも出せていなかったのではないか。むしろ延長戦でも154キロのストレートをバンバン投げていた昨夏の甲子園の方がよかった。1球、1球、投球フォームもバラバラ。思ったところにボールを投げることができず、スピードもない。57球の中で、何かひとつでも期待を持たせてくれるボールを見せて欲しかったが、何もなかった。押し込むストレートも、空振りを奪うストレートもなく、変化球については、フォーク、スライダー、ツーシームを投げていたが、そこにキレやセンスも感じなかった。確か楽天時代の田中将大もデビュー戦ではメッタ打ちされていたが、その中にもストレートやスライダーに見るべきものはあった気がする」 昨夏は、県大会ではリリーフ登板で最速158キロをマーク。星稜のエースとして決勝まで進んだ甲子園でも、3回戦では智弁和歌山を相手に延長14回で23奪三振の快投を演じ、その球速は延長に入っても154キロを示していた。わずか50球で140キロ台前半に球速が落ちるようなことはなく、将来性プラス完成度の高い投手として、巨人、阪神がドラフト1位入札した。 なぜ、そのポテンシャルが萎んでしまったのか。片岡氏は、こう指摘した。