なぜヤクルト“ドラ1”奥川恭伸はデビュー戦でプロの洗礼を受けたのか…「昨夏甲子園の方が良かった」との厳しい指摘も
「ファームでの彼の登板内容は知らないが、数字を見る限り、ほとんど投げていないし、途中、故障もあって空白を作ったとも聞く。おそらく2軍の首脳陣が大事にしすぎたのではないか。まだ1軍でデビューできる状況ではなかったのだろう」 奥川は、ファームで7試合に登板して1勝1敗、防御率1.83の数字を残しているが、春季キャンプで出遅れ、5イニング以上を投げたのは、10月24日の西武戦、11月1日の日ハム戦の2試合だけ。しかも最多の球数は56球だ。その日ハム戦をノーヒットの無失点に抑えたことで、最後の最後に「経験を積むこと」をテーマに1軍デビューのチャンスをもらったが、この1年、順調な歩みをしてきたか、と言えば、そうではない。 片岡氏は、こんな奥川育成計画を提言した。 「高校生にしては完成度の高いピッチャーで出てくるのは早いのではないか、と見ていたが、まだ高卒1年目。ファームでさえ1試合も投げていないロッテの佐々木朗希に比べれば、まだ一歩先に進んではいる。まあ佐々木に関しては、時間がかかるし1年目にこういう状態になるのは予想できたし、そのことに問題はないのだろうが。私の経験から言えば、奥川は来年もう1年放っておけばいい。あれこれと周りが手を出して、ああでもない、こうでもないとやると、期待外れのままつぶれてしまう。突き放して好きなようにやらせておくべきだ。彼への周囲の期待が大きいのはわかるが、自分から這い上がってくるような環境においてやるほうが、彼の持っているポテンシャルが開花すると思う」 プロの洗礼を受けて自分の現在地を奥川も確認できたのだろう。 「もっともっとレベルアップしないといけないと思いました。頑張ります」 マー君もプロデビューは2回持たずに6失点したが、その後、開花した。奥川の素材に疑いはない。来年へ向け、プロで成功するための宿題をもらったと考えればいい。