阪神・藤川監督、昨季85失策も「撲滅運動みたいなことをしても意味がないと思う」エラーは「意に介していない」
阪神・藤川球児監督(44)が5日、課題の一つに挙がる守備面のミス撲滅運動を行わない意向を示した。失策数は過去10年で7度セ・リーグワーストながら「エラーをしないことが目的でなくて、勝つためのこと」と説明。年末年始は昨季のプレー映像をチェックするなど虎戦士の情報収集に努めた指揮官は、守り勝つうえで致命的なミスを防ぐために策を講じていく。 痛恨のファンブルにまさかのトンネル…。甲子園がため息と不穏な空気に包まれてしまう失策は、虎が抱える長年の課題だ。だが、藤川監督は選手にノーミスは求めず、タクトを振る。 「はっきり言って、(失策)撲滅運動みたいなことをしても意味がないと思うんですよね。エラーをしないことが目的でなくて、勝つためのことなので」 昨季までの過去10年の失策数をみると、セ・リーグワーストは2018―23年の6年連続を含めて実に7度。昨季はDeNAが96個で不名誉の上書きは免れたが、9年連続の80個以上となる、同5位の85個だった。 ミスが少ないことに越したことはないが、失敗を恐れて体が縮こまってしまったり、消極的なプレーになったりするようでは元も子もない。内野部分に黒土が敷かれた甲子園を本拠地とする以上、イレギュラーバウンドが起こりやすく、人工芝のグラウンドをホームとするチームに比べて失策数が増えるのは致し方がない。その数に目を向けるのではなく、ミスを恐れずに攻めの姿勢を貫いた先に、投手もチームも救うプレーは生まれ、勝利にもつながっていく。 その上で重視するのは、起こったミスに対してどう対処していくか。そのための準備として、自分の時間ができた昨年のクリスマス以降は虎戦士の映像チェックに没頭した。 「1日、2日ゆっくりしていたら『次に向かいたいな』と思って。守備のうまさとか、まだ見ていない選手とか、2024年シーズンの選手の動きとか、ゲーム内容とか。ゲームを見返していますね」 YouTubeなども活用して前のめりになりながら、プレースタイルも含めた数字に表れない部分の選手の情報収集を行った。「首脳陣が入れ替わったタイミングで『昨年までの自分のことを理解してもらえない』と思わせるわけにはいかない」。担当コーチらと意見をすり合わせるためだけではなく、選手から救いの手を求められたときにより話を掘り下げてコミュニケーションを取るためでもある。岡田前監督時代から継承する本拠地・甲子園を生かした守り勝つ野球でV奪還するために、球児流の最良のアプローチを練っていく。