どうなる“戦国”皐月賞?!混戦を制するのは師弟愛か、それとも兄弟の絆か…波乱ドラマの予感
もうひと組注目度の高いコンビがいる。3枠5番に入ったスプリングステークスの勝ち馬ヴィクティファルスで挑む池添兄弟だ。兄が騎手、弟が調教師。前売り単勝オッズは10倍で4番人気に支持されている。 弟の池添学調教師は状態の良さに太鼓判を押す。 「私自身、前哨戦を勝ってクラシックに臨むのは初めて。一戦ごとに良くなっており、操作性も高く、勝負強さもある。前走の内容から距離延長も馬場コンディションも不安なところはひとつもない。兄にいい形でバトンを渡したい」 新馬勝ち直後で向かった共同通信杯では大物エフフォーリアに対して2着に敗れたが、キャリアを考えれば、好走と言っていいだろう。スプリング・ステークスでは4コーナーで外へ振られる距離ロスを克服して強烈な末脚で差し切っており、中山でのミドルペースと道悪をこなしたことは本番に向け、自信になったはずだ。 兄弟だから息はピッタリである。 兄の池添謙一騎手も「いいポテンシャルがある。反応の速さと末脚の鋭さが特徴。疲れはなく、状態も上がっている。いい形で皐月賞へ向かえる」と好感触を口にする。勝てば史上初の兄弟によるG1制覇となる。 さて”戦国”皐月賞を勝ち抜くのはどの馬だろう。 実は、クラシック戦線には不思議な流れがある。3冠馬誕生の翌年には、再び最強馬が生まれるのだ。これがサラブレッドの神秘なのかもしれないが、1983年の3冠馬ミスターシービーの翌年には同じく3冠馬シンボリルドルフ、あるいは2005年の3冠馬ディープインパクトの翌年には、2冠制覇のメイショウサムソンが出た。昨年はコントレイルが3冠を達成。その流れでいけば、今年も3冠を狙えるような最強馬が、皐月賞でゴールを切ることになる。つまりポテンシャルの高い馬だ。 その条件を満たす筆頭は、エフフォーリアか。競馬で三段論法は通用しないケースが多いが、共同通信杯の内容と、敗れた馬の活躍などから考えてダービー馬にふさわしい。初コースの中山、おそらく初めて経験するであろうミドルペース以上のラップをあっさりと克服する可能性もある。4枠7番は10年で5連対、目下4年連続連対中と絶好枠でもある。 もちろん4枠8番のダノンザキッドも心身ともに成長しつつあり、その資格の持ち主だろう。しかし、ポイントになるのは、当日の雨予報。馬場不問の池添兄弟ヴィクティファルスが浮上してくる可能性も捨てきれない。4戦3勝、若葉ステークスを勝ってきた1枠1番のアドマイヤハダルもチャンスをうかがう一頭。今回は“名手”クリストフ・ルメール騎手が手綱を握る。どの馬がヒーローになっても不思議ではない。波乱含みの“戦国”皐月賞である。