どうなる“戦国”皐月賞?!混戦を制するのは師弟愛か、それとも兄弟の絆か…波乱ドラマの予感
データ面を見るとダノンザキッドに厳しい。グレード制が導入された1984年以降、キャリア4戦以上で直前に初めて敗れた馬は、2013年のエピファネイアなどの2着が最高。勢いをそがれたのか本番で勝っていない。しかし、安田厩舎サイドでは、大一番を前に折り合いや手前の替え方を確認、さらに一度使うことによって精神面をリラックスさせることを重視しており、落胆した様子はなかった。 実際、弥生賞後にダノンザキッドの状態は急上昇している。最終追い切りも栗東CWコースでラスト200m11秒9とシャープに伸びた。元騎手で1991年の皐月賞、日本ダービーの2冠馬トウカイテイオーに騎乗していた安田隆行調教師は、「手前も上手に替え、体が沈んでスピード感もあった。評価はAです」と満足顔だった。 手綱を任せるのは、かつての愛弟子、川田将雅騎手である。川田騎手は安田厩舎からデビュー。競馬のイロハを学んだ。2年でフリーとなり、その後、トップジョッキーにまで成長し、この大事な一戦でコンビを組む。安田調教師は、「わが弟子ですが、(トップジョッキーに乗ってもらえて)光栄です。頼りになる。クラシックのタイトルを取ればドラマチックですね」と期待を寄せた。 その川田騎手はG1の高松宮記念(3月28日・中京)をダノンスマッシュ、大阪杯(4月4日・阪神)をレイパパレで勝利するなど目下、絶好調。その背景には武豊騎手の影響を受け、自身に合ったアブミの製造に協力し、実際に使用している点が挙げられる。アブミとは騎乗時に足先を乗せる重要な仕事道具。細かいパーツへのこだわりはプロフェッショナルとしての高い意識を感じさせる。 ダノンザキッドとのコンビでは、昨年12月にホープフルステークスを勝った後に号泣した。2010、2011年に期待されていたダッシャーゴーゴーで2度降着処分を受ける騎乗で迷惑をかけていた過去があり、師匠が管理する馬には特別の思いがある。「光栄と言ってもらえることが光栄です。中山2000mは何も問題ない。オーナーのため、厩舎のため、キッドのためにも頂点に立てれば」と意気込んだ。勝てば馬主、厩舎にとっても初のクラシックタイトル。力が入って当然だろう。