【NBA】シクサーズに移籍したポール・ジョージが古巣クリッパーズを批判、2年6000万ドルの提示は「バカバカしくて笑ってしまった」
唯一の心残り「カワイを置いていくのはつらい」
現地7月8日、ポール・ジョージが自らのポッドキャスト番組『Podcast P』の最新エピソードを配信した。このオフにフリーエージェントとなり、セブンティシクサーズと4年2億1200万ドル(約320億円)の契約を結んで移籍した彼は、シクサーズの8番のユニフォームを着て登場。『PG13』のニックネームで知られるとおりジョージと言えば13番だが、シクサーズではウィルト・チェンバレンの永久欠番。8番を選んだ理由を「コービー・ブライアントへのリスペクト」と説明した。 シクサーズとの交渉について「フロントの主だったメンバーが全員来てくれた」と明かす。「優れたコーチがいて、戦力は充実している。ベテランと若手のバランスも良く、素晴らしいチームになるレシピは揃っている。でも、あとは正しいプレーをしなきゃいけない。セルティックスが優勝できた一番の理由は戦力の充実じゃない。彼らが正しいプレーをしていたからだ。それを作らなきゃいけないし、僕は自分のプレーをシクサーズにフィットさせる必要がある。究極の目標はNBA優勝であり、僕はキャリアのこの時点でそれを追い求めたい」 話題がクリッパーズとの交渉に移ると、ジョージの表情はこれまでとは一転して暗いものとなったが、その口調はより熱を帯びた。「最初のオファーは2年6000万ドル(約90億円)だった」とジョージは明かす。「本音を言えばロサンゼルスに残りたかった。僕の故郷でもあるし、カワイ(レナード)とはここまで一緒にやってきて、最後まで一緒にやり遂げたかった。カワイと同じ条件であれば受け入れたよ。でも僕のほうが少なかった」 カワイとクリッパーズは今年1月に3年1億5240万ドル(約230億円)の契約延長に合意している。これに対してジョージへの提示は契約年数が短く、1年当たりの年俸も安かった。加入したばかりのジェームズ・ハーデンでさえ2年7000万ドル(約110億円)とジョージより好条件で契約延長している。「バカバカしくて笑ってしまった。サインするわけないだろう、と思ったよ」とジョージは振り返る。 その後の交渉で条件は多少良くなったが、オールスター前の時点でジョージはシーズン終了まで交渉をストップさせた。シーズン終盤に契約問題に気を取られたくなかったからだ。シーズン終了後に交渉が再開されるとクリッパーズはカワイと同等の契約を提示したが、ジョージはもうフロントへの信頼を失っていた。 「僕はトレード拒否条項を求めた。減額を受け入れるのはこのメンバーとプレーするためだから、僕としては当然の要求だったけど、クリッパーズはそれを拒否した。彼らは僕をウォリアーズにトレードするつもりで、その手はずはほぼ整っていたんだと思う。ウォリアーズでプレーすることに興味がなかったわけじゃない。ステフィン・カリーは特別な選手だからね。でも、ジョエルも特別な選手だ。そうであれば……4年2億1200万ドルを選ぶ」 契約交渉でのクリッパーズの姿勢を「敬意を欠いたものだった」とジョージは振り返るが、心残りは親友のカワイを残していくことだ。「彼はこのリーグで一番の友人だし、家族ぐるみの仲だ。カワイとプレーするのは本当に楽しかった。その彼を置いていくのはつらい。だから彼とはすべてを話したよ。移籍を理解してくれた」 そのジョージの気持ちはすでに新たな挑戦に向かっている。34歳の選手に4年契約を提示したシクサーズの期待に応えるのが彼にとっての義務であり挑戦だ。「34歳の今も高いレベルでプレーできているし、これから運動能力が衰えるにしても、より効率の良いプレーをして守備でも高いレベルをこなすスキルがあると信じている。自分の身体を大切にしているし、ここからもっと長くプレーを続けられるよう食事内容もすべて見直しているところだ。僕は若い頃に大きなケガをしたけど、そこから選手としてレベルアップできた。復帰した時に子供のようにバスケを楽しめた感覚を覚えている。あんなケガはもう二度と経験したくないけど、その感覚は忘れたくない」