箱根駅伝“山の神”に「絶対なりたい、とは思わなかった」東洋大・宮下隼人が逃した“神”にいま思うこと「5区の区間記録はプライドでした」
箱根駅伝においてもっとも“特別”な区間、5区。山上りのこの区間を制し、いくつかの条件がそろったとき、その選手は「山の神」と呼ばれる。3代目の神野大地を最後に生まれていない山の神。その襲名にあと一歩まで迫った男たちがいる。その一人が、宮下隼人だ。2代目・柏原竜二と同じ東洋大で5区を走り、現在は3代目・神野も在籍したコニカミノルタで活躍する宮下に「山の神」への思いを聞いた。〈NumberWeb連続インタビューの1回目/2回目・山本唯翔編はこちら〉 【写真】「こ、これはきつそう…」端正な顔をゆがめて必死でゴールする東洋大時代の宮下隼人から、爽やかな特写+今大会の「山の神に迫った男」、“若乃神”こと青学大・若林宏樹を写真で見る 「僕は、是が非でも山の神になりたいというのがなくて、チームの足を引っ張らずに少しでも貢献することを意識していました」 宮下隼人(東洋大―コニカミノルタ)は、そう語る。 2020年、東洋大2年の時、第96回箱根駅伝の5区を70分25秒で駆け上がり、区間記録を更新した。その大会で東洋大は総合10位に終わり、宮下は「山の神」にはなれなかった。だがその区間記録を生んだことで、周囲の期待は大きく膨らんだ。それを背に、3年生、4年生と5区を駆けていくことになった。 その道は、東洋大のある先輩が経験したものに少なからず似たものがあった。
子ども心に「この人すごいなぁ」
宮下がその先輩をテレビで見たのは、小学生の時だった。 「小6の時かな、箱根駅伝を見ていたんです。山をすごい勢いで上っていく選手がいて、当時、野球をしていて野球しか知らない僕ですら『この人すごいなぁ』って衝撃を受けたんです。それが柏原(竜二)さんでした。陸上をやっていない人さえも魅了する、応援したくなるガッツある走りがすごくて、箱根駅伝イコール山のイメージがつきました」 それ以来、柏原のファンになった。 宮下はその後、東洋大に進学した。あまりのレベルの高さに最初は、ついていけるのか心配になった。だが必死に練習に取り組み、真面目な生活態度が指揮官の目を引いたのか、宮下は5区の強化合宿に入ることができた。
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