じつは、そう「単純ではなかった」…じつに多くのパターンで、この体を調節していた「体内時計の、驚愕のはたらき」
朝に多い → 心筋梗塞・脳梗塞・くも膜下出血・不整脈 月曜日に増える → 狭心症 冬に33%増 → 心臓死 【画像】夜勤後の看護師の「生体リズム」から見えてきた「衝撃の現象」 病気が生じやすい“魔”の時間帯が存在することをご存じでしょうか? 脈拍や呼吸、睡眠はもちろん、細胞分裂やたんぱく質の製造まで、人体はさまざまなリズムにしたがって「いつ」「何を」おこなうかを精密に決めています。そのリズムの乱れが、健康を害する引き金になっているのです。 病気が生じやすいタイミングがあるのはなぜか? 薬が効く時間、効かない時間はどう決まるのか? それらを治療に活かす方法は? 時計遺伝子やカレンダー遺伝子の機能としくみから、体内時計を整える食品まで、生体リズムに基づく新しい標準医療=「時間治療」をわかりやすく紹介する『時間治療 病気になりやすい時間、病気を治しやすい時間』から、そのエッセンスをご紹介します。 今回は、海外旅行で発生する「時差ぼけ」から、体内時計と関係の深い「生体リズム」について取り上げます。 *本記事は、『時間治療 病気になりやすい時間、病気を治しやすい時間』(ブルーバックス)を再構成・再編集したものです。
体内時計を狂わす海外旅行
ジェット旅客機を発明したことで、私たちは短時間のうちに大陸を越えて、遠い異国まで移動できるようになりました。本来は生活時間が異なる土地に、文字どおりひとっ飛びで行けるようになったのです。 海外旅行や外国とのビジネスにおいて計り知れないほどの恩恵を与えてくれる発明である一方、海外渡航による時差は、体内時計を狂わせる大きな要因を生み出しました。 たとえば、日本からロサンゼルスへ行くとしましょう。日本とロサンゼルスの時差はマイナス16時間(夏時間)。飛行時間が約10時間として、日本を正午(12時)に出発すると、ロサンゼルスに着くのは現地時間の午前6時です(日本の時刻は同日の22時)。 体内時計にしてみれば、本来は夜になって休息する時間であるはずなのに、なぜか日が昇り、朝になっている……。体内時計の時刻と実際の生活時間がずれてしまうこのような現象を、「外的脱同調」といいます。