「ヒートショック溺死」は愛媛、鹿児島、静岡に多い理由…「暖房をつけても足元が冷える部屋」を放置してはいけない
■東京都だとさらに手厚い補助が 自治体によっては、国の「先進的窓リノベ事業」と併用できる独自の補助・助成を行っています。特に手厚いのが東京都です。 東京都の「既存住宅における省エネ改修促進事業」は、例えば高断熱窓の設置に対して、3分の1の助成(上限100万円/戸)が受けられます。国の制度と併用すると、最大6分の5の補助・助成率になります。この制度は、高断熱ドアや高断熱浴槽も助成対象にしています。 さらに東京都は、賃貸住宅に対して、「賃貸住宅における省エネ化・再エネ導入促進事業」という制度により、高断熱窓設置等に対する助成を行っています。この制度の助成率はさらに高く、条件が整うと、賃貸住宅のオーナーはなんと、ほぼ費用負担ゼロで高断熱窓の設置が可能です。 ただし、2025年3月31日までに交付申請が必要なので急ぐ必要があります。また、省エネ診断(100%助成)が必要など、少し複雑な制度なので、関心がある方はぜひ当社にご相談ください。なお、YouTubeでも「建てる前に見て!断熱性能の真実」という動画を公開しています。参考にしてください。 賃貸住宅の高断熱化は、居住者の健康・快適・省エネな暮らしに寄与するだけでなく、省CO2化等、社会的な意義も大きいので、都内に賃貸住宅をお持ちのオーナーは、ぜひこの制度の活用をご検討いただきたいと思います。 ■何度も追い炊きする家は「高断熱浴槽」がおすすめ 高断熱窓の設置がそんなに自己負担が少なくできるのならば、ついでにもう少し家の断熱性能を引き上げたいという方には、床の断熱リノベがコスパが高く、お勧めです。床下に人が入れる空間があることが前提になりますが、床下から現場発泡ウレタンを吹き付ける等の工法ならば、普通に暮らしながら施工することができますし、費用も比較的リーズナブルです。そして、断熱性能だけでなく、床下からのすきま風もかなり防ぐことができるのも大きなメリットです。 そして、もう一つお勧めしたいのが、タイル張り等の在来工法の浴室で冬の寒さを痛感している方に、ユニットバスへのリノベーションです。在来工法の浴室に比べて、断熱・気密性能が高く、浴室がとても暖かくなります。 また、高断熱浴槽を選べば、浴槽のお湯が冷めにくくなります。高断熱浴槽とは、浴槽のまわりに断熱材が施工された保温性の高い浴槽のことです。家族の入浴時間がばらばらのご家庭などでは、何度も追い炊きすることでかかっている光熱費をかなり減らすことができます。 以上のご説明してきた断熱リノベは、家の建て替えや断熱フルリノベーションに比べれば、圧倒的にリーズナブルに、それも公的な高い補助率の補助金を使い実施することができます。健康寿命を延ばし、快適な生活を送るために、ぜひ、検討していただければと思います。 ---------- 高橋 彰(たかはし・あきら) 住まいるサポート代表取締役/日本エネルギーパス協会広報室長 千葉大学工学部建築工学科卒。東京大学修士課程(木造建築コース)修了、同大博士課程在学中。リクルートビル事業部、UG都市建築、三和総合研究所、日本ERIなどで都市計画コンサルティングや省エネ住宅に関する制度設計等に携わった後、2018年に住まいるサポートを創業。著書に、『元気で賢い子どもが育つ! 病気にならない家』(クローバー出版)、『人生の質を向上させるデザイン性×高性能の住まい:建築家と創る高気密・高断熱住宅』(ゴマブックス)などがある。 ----------
住まいるサポート代表取締役/日本エネルギーパス協会広報室長 高橋 彰