【超RIZIN】「朝倉未来vs.平本蓮」の5分5Rのラウンドマストをどう見るか? 物議を醸した「判定問題」から考えるJ-MMAの未来
◆「世界と戦うため」の環境設定で「世界で勝つため」に必要なこと
ユニファイドルールは、日本の各団体のルールと異なる部分も多い。それでも最新の傾向を反映させることは、日本の選手が海外で戦うときのためにも、必要だという。 福田 ABCのユニファイドルールは、ホームページを見れば簡単に入手できて、文面と同じルールを採用することはいくらでもできるんですけど、やっぱり解釈とか現場の運用の中身がズレてしまうと、それは日本独自のものになっておかしなことになってしまう。また、選手もそのような環境で長く試合を続けると日本から海外に出たときに、試合に集中できないような要素が増えてしまう。日本国内で世界の主要団体で行われている最新のものを競技面に反映できるようにして、選手がこれから海外に羽ばたくときに、違和感なく海外に行けるような環境を提供できるように努力していければいいなと思っています。 競技運営が「世界と戦うため」に必要な環境を整えていくなかで、ファイターたちはどんな選択をするのか。 「打高組低」と言われるなか、コストパフォーマンスの低い組み技をディフェンスに徹底して、スタンド勝負する日本人選手が増えた場合、その打撃は、そのテイクダウンディフェンスは、そのケージレスリングは、海外勢と戦えるものなのか。テイクダウンする方も同様に、それは海外勢を相手に極めに至る、ダメージを与えるものなのかが問われてくるだろう。 世界のMMA最前線では、いまや“出来ないこと”があるのは致命的だ。全てが高いレベルで強くなくては戦えないし、そのうえで際立ったフィニュシュの武器があることが、最高峰に向かうための必須条件になっている。 強くなるための近道はあってもチートはない。自身の強みを活かし、弱みを減らし、いかにフィニュシュに向かうか。 ◆「朝倉未来vs.平本蓮」のラウンドマストをどう見るか? 今回のジャッジ問題は、今後の試合を見る上で、MMAのひとつの楽しみ方にもなるだろう。 7月28日には『超RIZIN.3』(さいたまスーパーアリーナ)で、朝倉未来(ジャパントップチーム)vs.平本蓮(剛毅會)の試合が、5分5Rで行われる。 通常5分3Rのトータルマストの判定のRIZINだが、この試合は、各ラウンド10点方式による採点で優劣をつけ、3Rまでに決着がつかなければそこまでのスコアをオープン。そして5R終了時にスコアが同点だった場合、トータルで優劣をつけ、どちらか一方を支持するマスト方式で勝者を決める。 明らかにゲームプランに影響するルール変更のなか、朝倉vs.平本は、どちらが攻めてどちらがカウンターを狙うか。ラウンドマストにおいていかにポイントメイクするか。テイクダウン&コントロールは評価されるのか。殴りに行けば、立つスペースが生まれるなか、倒されてもいかに立つか。 本誌では、今回の5分5Rの特別ルールについて、どちらかから声が挙がったのか、と榊原CEOに訊いたところ、「主催者判断」という回答だった。 「主催者として、やっぱりこの決着は自ら2人の選手に決着をつけてもらいたいなと。第三者のジャッジに委ねるんじゃなくてね。ただまあ競技なんで、それを考えた時に5分5Rっていうところが今回最大公約数として落とし所になるかなというところで、色々両陣営とも調整してこのルールになりました」(榊原CEO) 今回の決定に、5分5Rで戦う準備は両者、いつから心づもりが出来て、どんな準備をしてきたのか。 朝倉は「5分5Rでも無制限でもなんでもいいですよ、俺は。最初から1Rから思い切りいきます」と語り、平本は「5Rの方が得意だと思います」とだけ答えている。