パリオリンピックの選手村、「美食の国」で提供される驚きの料理とは?
朝食にはタンパク質
「朝は王様のように、昼はプリンスのように、夜は貧乏人のように食べる」という格言がフランスに昔からある。スポーツ選手の食生活はこの格言通りではないが、質の観点からは確かに朝食がもっとも重要であり、日々の栄養の土台となる。起床したら大切な栄養素はただひとつ、タンパク質だ。タンパク質こそが神経伝達物質のドーパミンの生成を促進し、やる気と活力をもたらし、生産性を上げてくれる。おすすめメニューは、卵、ハム、牛肉やチーズ。フレッシュチーズやヨーグルトにアーモンドやクルミ、ピーナッツバター、チアシードを混ぜたものもいい。ジャムパンなどの炭水化物は必要だろうか?オレンジジュースは? 「不要です」と栄養士のセリア・カルルスカンはにべもない。なぜなら、糖質はインスリンの分泌を引き起こして疲労感をもたらすうえに食欲を刺激し、食事直後に空腹感を覚えかねないからだ。ただしマラソンなどの持久系スポーツの選手の場合は事情が異なる。競技前3日間は炭水化物の量を増やし、長期間動く際の主燃料となるグリコーゲンの貯蔵量を最適化する必要があるからだ。精密機械のようなスポーツ選手の身体微調整に欠かせない朝食だが、緊張とストレスが高まる決勝の朝には何も食べられない選手もいるだろう。そんな時はリラックス効果のあるハーブ(レモンバーム、サンザシ、パッションフラワー)ティーを飲んだり、アーモンドを数粒かじったり、「幸せホルモン」と呼ばれるセロトニンの材料となるトリプトファンを豊富に含むダークチョコレートを食べるといい。食欲のない時の強い味方は液体だ。たとえば植物性プロテインシェイク(ひよこ豆)に低糖質の果物(イチゴ、ラズベリー、キウイなど)を組み合わせたメニューが考えられる。 午前中にトレーニングした場合、トレーニング終了後30分以内に軽食を取る。タンパク質を摂取することで筋肉を修復して筋肉痛を和らげると同時に、炭水化物でグリコーゲンを補給する。「このタイミングで摂取することにより、最大の効果が得られるのです」と栄養士のセリア・カルルスカンは言う。ヘルシーだが味気ない工業製品よりも手作りを好むアスリートには、抗酸化作用が高い赤い実のフルーツ、バナナ、ライスミルク、植物性プロテインをブレンドしたミルクシェイク風飲料を用意しよう。保存が効かない分、アスリートは食欲がなくてもシャワーから出たらすぐに飲まざるを得ない。そこが手作りの良いところでもある。