パリオリンピックの選手村、「美食の国」で提供される驚きの料理とは?
パリ五輪の選手村では、世界最大級のレストランがオープンする。なにしろシェフ200人が毎日4万食を用意することになるのだ。しかもスポーツ栄養学を考慮しながらフレンチガストロノミーも味わえるとは、いったいどんな料理が出てくるのだろう。 【写真】この夏パリを訪れるなら絶対買いたい!オリンピックにちなんだお土産10選 フランスは美食の国だが、オリンピックやパラリンピックには残念ながら美食という競技種目がない。だがパリ五輪で14,500人の選手たちに提供される食事メニューはオリンピック史に残るものとなるかもしれない。なにしろ栄養面での配慮に加え、地元の美味しい料理を提供しようという意気込みが詰まったメニューなのだ。メインレストランはパリ近郊のサン・ドニにある映画スタジオ、「シテ・デュ・シネマ」の建物内に設けられ、3,500人が同時に食事ができる世界最大級の食堂となる。日々4万食を提供する想定でメインディッシュは約40種類(3分の1はベジタリアンメニュー)、日替わりメニューは120種類、レシピ数は合計500種類にもなる。食材はレストランの周囲250km以内ですべて調達する予定だ。しかも200人のシェフに加えてフランス料理界の有名シェフ3名も参加している。なんとも美味しい話だ。 ミシュラン1つ星のアクラメ・ベナラルは、キヌアの食感を活かしたミューズリー「ムスリノア」のレシピを提供した。女性シェフのアマンディーヌ・シェニョは、アーティチョーククリームを敷いてポーチドエッグのクロワッサンを置き、羊乳トムチーズとトリュフを削りかけたレシピを用意している。3つ星シェフで元プロバスケットボール選手のアレクサンドル・マジアが準備したのはスパイス風味のメルルーサをタピオカ入り野菜スープに浮かべたレシピだ。こうした星つきシェフの料理を選手たちは食べることになる。アレクサンドル・マジア曰く、「オリンピック委員会からの提示条件は厳しく、挑戦しがいがありました。地産地消、フランスがノウハウを誇る美食、そしてアスリートへの栄養的配慮を兼ね備えたメニューは実現可能であることを示す絶好の機会でした」 どんな栄養的配慮が必要かはアスリートの体型やスケジュール(トレーニング時期か競技中か休息期間か)、そして本人の嗜好によって異なる。「食事は、各人の自然なバイオリズムに沿うべきです。またカロリーや量といった、不安やストレスを生むマイナス要素よりも優先されるべきなのは、楽しい、質がいい、タイミングがいいといった概念です」と言うのは、スポーツ栄養学専門の栄養士であり、自らウルトラトレイル・ランナーでもあるセリア・カルルスカンだ。選手たちの食生活は具体的にどのようなものなのだろう。