急増する「梅毒」、産婦人科医が早期の検査・受診を勧めるワケ、手足口病や皮膚病と間違える人も?
性感染症「梅毒」が、50年に一度と言われる規模で広がっている。国立感染症研究所によると、2024年の感染報告件数は全国で累計1万3千人超。昨年記録した過去最多に近づいている。「もしかしたら自分も…?」と気になる人もいるかもしれないが、梅毒の検査や性病科の受診は、なかなかハードルが高い。だが、クリスマスや年末年始という開放的になる時期を前に、正しい知識を得て、自分はもちろん大切な人を守ることは重要。性感染症に詳しいクリニックフォア産婦人科専門医に、「梅毒」の症状や検査、治療について聞いた。 【一覧】まさか!? この症状があったら…! 梅毒の症状一覧 ■マッチングアプリやパパ活も影響、長い潜伏期間と症状のわかりにくさが感染拡げる ――現在、50年に一度の規模で「梅毒」が流行しているそうですが、臨床の現場でもそのような実感はありますか? 「はい。当院でも昨年までは検査陽性者数は月に1~2件でしたが、今年に入って月に10件程度と増加しており、おおよそ報道の通りかと思います。梅毒はウイルスではなく菌。第1期~第3期までありますが、ほとんどの方は第1期か第2期で受診しますね。全身に様々な症状を引き起こすため、他の疾患と区別が難しい性感染症でもあります」 ――なぜここまで流行しているのでしょう? 「潜伏期間が長い病気でもあるので、気づかずに感染を広げるリスクが高く、収束しにくいのではと考えられます。マッチングアプリやパパ活などの影響も少なからずあるかもしれません。患者の傾向についても東京都感染症情報センターの統計通りで、女性は20代が多く、男性は20代から50代まで幅広く感染者が見られます。男女でほぼ差はなく、大体同じぐらいと言えるでしょう」 ――まず第1期(感染機会から10~90日後)では、直接接触のあった性器や口、肛門周囲などに、発疹やしこりができるとのこと。これは感染者自身が見ても梅毒だと判別はつきやすいものですか? 「人によって症状は様々なので、難しいかもしれません。しこりのようなものができることも、潰瘍のようにえぐれたようなものができる場合もあります。痛みはほぼないのですが、潰瘍状になって別のばい菌に二次感染を起こすとかなり痛いようです。また、肛門性交での感染では肛門の周りに出ることもあります」 ――第2期(第1期から4~10週間後)の赤い斑点(梅毒性バラ疹)は有名ですが…。 「バラ疹は、1枚皮膚をかぶせたようなくぐもった感じの湿疹です。ただ、これも多種多様で、全身に出ることもあれば、部分的なことも。ネットで検索すると多くの写真が出てきますが、人によって症状は異なるので、過信は禁物です。これらの症状が出て、さらに何か思い当たる行為をした記憶のある方は、専門医のところで検査をすることが大事。ネットの写真がすべてではないと肝に銘じてください」