急増する「梅毒」、産婦人科医が早期の検査・受診を勧めるワケ、手足口病や皮膚病と間違える人も?
■意外に知らない梅毒治療、「初期検査はオンラインも可能」「進行していなければお尻に注射1本」
――では、どのような治療をするのでしょうか? 「ペニシリンという抗生物質を使います。注射か飲み薬か、どちらでも治療ができます。注射は太い針をお尻に刺すのでわりと痛いのですが、症状が進行していなければこれ1本で終了。自費で1回約2万円程度です。ただ、梅毒がすでに第2期、第3期と進行してしまった場合は、注射を3本ほど打たなければなりません。経済的にも、なるべく早く受診するのが良いと思います」 ――飲み薬のほうは? 「こちらは1ヵ月間、毎日薬を飲み続けないといけません。今は世界情勢の影響もあって飲み薬が不足しがちなので、1回で済む注射のほうが飲み忘れもなくおすすめですね。もちろんどちらの治療であっても、治療終了1ヶ月後にはちゃんと治っているかどうかの再検査が必須です」 ――進行していなければ、注射なら治療も長引かないことは意外でした。これなら、少しでも早く受診するのがよさそうですね。とはいえ感染しないのが一番だとは思いますが、予防法は? 「やはり、避妊具ですね。梅毒は粘膜感染なのでコンドームは有効です。また、不特定多数と性交渉しない、定期的に検査を受ける、症状を認識して疑わしい場合は必ず受診、ですね。いきなり受診するのが難しい場合は、まずはオンラインでも検査ができます」 ――血液検査なのに、オンラインでも可能なのですか? 「第1段階のスクリーニング検査ですが、送られてきた検査キットで指先をチクっとする程度の血液を採り、それを送り返すことで検査ができます。『まさか自分が』『受診が恥ずかしい』という方もいると思いますが、何かしら不安があるのであればまずはそこからでいいと思います。初期であればあるほど、治療にかかる費用も時間も少なくて済むので、なるべく早く検査することをおすすめします」 <プロフィール> クリニックフォア産婦人科専門医 大阪大学医学部を卒業後、産婦人科専門医として大学病院等で主に生殖医療に従事。その後、厚生労働省に出向し、医系技官として不妊治療・出生前診断等の母子保健領域における行政施策推進に携わる。現職では女性のライフステージに応じたウェルネス向上をサポートすべく、ICT等を活用したスマートな課題解決の実現を目指す。 (文:衣輪晋一)