独身60歳、老後のために「2000万円」貯めましたが、使い切る前に“寿命”を迎えると、残りは国に「接収」されてしまうのでしょうか? 親族も相続人もおりません
独身で相続人がいない場合、死亡したときに財産は国に帰属します。つまり、使い切る前に寿命を迎えると国に財産を接収されることになります。 しかし、特別縁故者がいる場合や有効な遺言状を書いておけば、自分の財産を違う人に継承することが可能です。 本記事では、独身者が死亡したときの財産の行方や、誰かに財産を渡したいときの対策について解説します。 ▼亡くなった母が私名義で「500万円」を遺してくれていた! 名義は自分でも「相続税」はかかる?
相続人がいないとき財産は国庫に帰属する
親族がいない独身者は、相続人が存在しません。相続人がおらず、特別縁故者(生前に故人と特別な縁があった人)もいない場合、死亡したときに財産は国に帰属します。 そのため、老後生活のために貯金をしていても、使い切る前に死亡すると財産は国のものになります。せっかく作った財産が国に帰属してしまうことに心理的な抵抗を感じる場合は、貯金したお金を計画的に使う意識を持ちましょう。 しかし、人間は何歳まで生きるかは誰にも分かりません。また、高齢になると高額な医療費用や介護費用が必要になる事態も想定されるため、できるだけ多くの貯蓄があれば安心できるのも確かです。 寿命を迎える前にお金を使わないと意味がないとはいえ、使いすぎて老後資金が枯渇してしまう事態は避けなければなりません。老後資金をどのように使うべきかは、非常に悩ましい問題といえるでしょう。
相続人以外に財産を渡す場合は遺言書が必要
自分の資産が国に帰属する事態を避けたい場合は、遺言書を作成するとよいでしょう。民法で定められた法定相続人以外に財産を渡したい場合は、遺言書を作成する必要があります。 懇意にしていた知人や友人、寄付したい団体がある場合などは生前に遺言書を作成しましょう。 なお、遺言書には「自筆証書遺言」「公正証書遺言」「秘密証書遺言」がありますが、最も確実性が高いのは公正証書遺言です。公証役場で証人の立ち合いのもとで公証人により作成され、遺言書は公証役場で保管されるため、無効となるリスクを大幅に軽減できます。 自筆証書遺言と秘密証書遺言に関しては、遺言書を自宅で保管しなければなりません。そのため、いざ相続が発生したときに発見されない恐れがあります。 特に、親族のいない独身者が自宅で死亡した場合、同居していた生活者がいないため遺言書の有無を把握できないケースが想定されます。せっかく遺言書を作成しても発見されなければ意味がないため、公正証書遺言を作成するとよいでしょう。 遺言書を作成する際には、判断能力を喪失していないことが求められます。つまり、認知症を発症してしまうと遺言書を作成できません。そのため、心身ともに健康なうちから財産を渡す相手を考え、遺言書を作成することが大切です。