山手線で2番目に新しい西日暮里駅は「鉄道のワンダーランド」
地下鉄連絡駅として開業
西日暮里駅は、2020(令和2)年3月に高輪ゲートウェイ駅が営業を開始するまで、山手線のなかで「最も新しい駅」のタイトルを保持しつづけていた。開業は1971(昭和46)年4月20日で、1925(大正14)年11月に開設された御徒町駅以来、46年ぶりの山手線新駅だった。全部で30ある山手線の駅のうち唯一、昭和年間に開かれた駅でもある。 【写真】モノづくり1500年の堺が生んだ「スーパー刀匠」 新駅を設けることになった発端は、営団地下鉄9号線(現在の東京メトロ千代田線)の計画にあった。都心部を貫き、小田急線の喜多見(のちに代々木上原に変更)と常磐線の綾瀬とを結ぶとされた9号線は、小田急・常磐線双方の相互乗入れを前提とし、1966(昭和41)年7月から工事に着手した。両線ともラッシュ時の混雑がすさまじく、新しい地下鉄は都心へのバイパスとして、混雑緩和の切り札となることが期待されたのだ。 話を常磐線にしぼると、従来、短距離の通勤電車から中長距離の列車まで複線でさばいていたのを、まず国鉄(現JR)が、綾瀬-取手間に快速や中長距離電車用の新たな複線を建設して複々線とする。しかし用地取得が困難な都心寄りは地下鉄に頼り、緩行電車(各駅停車)を、綾瀬から北千住を経て地下へ送り込んで、実質的に複々線化しようとしたのである。
田端駅から西日暮里駅までわずか500m
このように、千代田線は常磐緩行線の受け皿という性格から、国鉄も山手線・京浜東北線との連絡を重視し、日暮里-田端間の地下鉄との交差部に新駅設置を決めたのだった。 都道457号線(道灌山(どうかんやま)通り)の下を走る地下鉄が山手線と交わる、田端から0.8kmの地点に西日暮里駅は設けられた。次の日暮里駅までのキロ程はわずか0.5kmで、これは山手線で最も駅間距離が短い区間である。 道灌山通りの直上に駅を設けたので、道路面からの高さを確保するため田端からは上り勾配で駅に到着し、次の日暮里駅へ向かっては勾配を下ってゆく。駅ホームの横断面もゆるい「へ」の字状に湾曲しているほどだ。