三者三様の強さを見せる「コム デ ギャルソン」系列3ブランド、アクティブなスタイルにも上質感漂う「エルメス」 2025年春夏パリコレ日記Vol.5
その次の「アンドレアス・クロンターラー フォー ヴィヴィアン・ウエストウッド(ANDREAS KRONTHALER FOR VIVIENNE WESTWOOD)」には、変化が見られました。前回は中世の服のような衣装的デザインだったり、服そっちのけで気になってしまうパフォーマンスだったりで独創的な世界観全開といった感じだったのですが、今季はよりリアリティーのあるスタイルにシフト。アイコンのタータンもほぼなく、これまでは男女合同で発表していましたが、今回のショーはウィメンズのみに絞りました。アンドレアスがイメージしたのは、セクシーで活発な強い女性だそう。「ヴィヴィアン」らしいドレープを効かせたスタイルから異なる色のレースをストライプ状にはぎ合わせたデザイン、ボリュームのあるフレアシルエットまで、膝丈やミッドカーフ、ロングのドレスやスカートが充実しています。デザインのポイントは、デコルテライン。ドレスの胸元はさまざまなシェイプで大きく開き、シャツやジャケットも独特のカットで前を閉めた時に胸元が露わになるようなデザインになっています。
「エルメス」は、最高の食材を生かす料理人のようなクリエイション
そして、バスに揺られて「エルメス(HERMES)」へ。ずいぶん早く到着できたので、シャンパンをいただいてから着席。今回の会場内は、いくつもの大きなキャンバス状のパネルで仕切られています。それは、今回のテーマである「創造の舞台としてのアトリエの存在を称えること」につながる表現です。
コレクションでは、モダンな職人技、ベージュから始まる茶系を中心に鮮やかなピンクを加えた美しい色彩、シアーな素材が生む官能性を追求。なめらかなレザーやスエード、デニムで仕立てたユーティリティージャケットやコートに、ニットのブラトップやブルマー、シアーなクロップドトップスやワイドパンツを合わせ、ワントーンを軸にしたヘルシーなスタイルを描いています。トップスの前面にペンやツールを収めるようなポケットやフラップポケットを配したり、シアーなロングタンクやパンツのサイドをファスナー開閉できるようにしていたりと、ワークウエアから着想したディテールがエレガントに取り入れられているのが印象的でしたね。