三者三様の強さを見せる「コム デ ギャルソン」系列3ブランド、アクティブなスタイルにも上質感漂う「エルメス」 2025年春夏パリコレ日記Vol.5
村上:「エルメス」は近年、バレエダンサーをインスピレーション源に掲げるなど、健康的な体を賛美するような程よいボディコンシャスなシルエット、その表現に欠かせないハイゲージのニット素材、こうしたスタイルをモードではなくエレガントに表現するアースカラー、そして、面白味を加えるワークやミリタリーのエッセンスと、新しいクリエイションの軸が確立してきた印象です。最高の素材、中でも軽さは一目瞭然の、今シーズンならオーガンジーやメッシュ、パンチングレザーなどの素材からミニマルでアクティブなスタイルを作ると、他とは違う上質感が際立ちますね。なんか最高の素材を生かすため、調理工程は最小限に控え、その良さを引き出す料理人のようなクリエイションだなぁといつも思っています。
クワイエット・ラグジュアリーというトレンドは、少なくともミラノやパリではひと段落してきた印象がありますが、「エルメス」のクリエイションは決して色褪せないですね。「エルメス」の場合は、クワイエット・ラグジュアリーなスタイルはトレンドではなくアティチュードだし、他に先駆けて確立・進化を続けているからでしょう。なんか毎回「上質って素晴らしい」と、ため息混じりにつぶやいてしまうのが少し悔しいくらいです(笑。何を悔しがっているのか、分かりませんが)。
藪野:「エルメス」の後は、その近くで開かれていた「ジェイ ダブリュー アンダーソン(JW ANDERSON)」の展示会へ。ここ数シーズンは16区(西の端)で開催されていたので行けなかったのですが、また中心地に戻ってきてくれました。過密なスケジュールの中では、移動時間も貴重なので助かります!素材をシルク、レザー、カシミア、スパンコールの4つに絞って見せたコレクションの詳細は、ロンドンでのショーを現地取材した木村記者のリポートをご覧ください。
展示会では、新作のバッグやシューズもチェックしてきました。バッグは、6月のメンズで初登場した“ローファー“バッグをはじめとするレザーアイテムだけでなく、ロープを編んだニットのアイテムも。シューズは、ショーでも目を引いた筒が前傾したメンズライクなショートブーツに加え、ファスナーをデザイン的にあしらったフラットシューズやミュールなどリアルに使いやすそうなデザインが揃います。