ラーメン官僚が太鼓判を押す、福島県の本当にウマい店。白河ラーメンの最注目店『手打中華そば もり』
名店『とら食堂』のDNAを受け継ぐ『手打中華そば もり』(白河市)
2024年3月15日にオープンした『手打中華そば もり』。この店が今、白河エリアで大フィーバーを巻き起こしている。それもそのはず。同店の店主は、白河を代表する実力店『とら食堂』で、10年間みっちり修業を重ねた上で満を持して独立を果たしたベテラン。しかも、『とら食堂』現店主の娘婿その人だ。 白河エリアには、『とら食堂』を修業先とする店舗は複数存在するが、その中でも『もり』は別格。『とら食堂』のDNAを特に色濃く受け継いだ新星ということになる。
店舗の場所は、JR白坂駅の出口から徒歩5分程度。JR白坂駅は、福島県白河市に位置するJR東日本東北本線の駅。一日当たりの平均乗車人員がわずか63人しかいない無人駅であり、地元客以外の方がアクセスするには、上り・下り共に1時間に1本あるかないかという電車をつかまえる必要がある。つまり、他に目ぼしいスポットもないため、わざわざこの店を目指さなければ、まずアクセスしないような場所なのだ。 にもかかわらず、同店に到着した際に、まず視界へと飛び込んできたのは、黒山の人だかり。 同店の開店時間は午前11時。現在、記帳制を導入しており、私が同店を訪れた11時過ぎの段階で、約50名の先客がボードに名を連ね、約2時間待ちという驚異的な人気ぶりだった。いかに今、『もり』が熱い店であるのかを示す証左だろう。 同店が提供するのは、「中華そば」と「つけ麺」。加えて、「中華そば」のバリエーションである「焼豚麺」、「ワンタン麺」、「焼豚ワンタン麺」。中でも人気なのが、「白河ラーメン」の代名詞とも言われる「ワンタン」がトッピングされる「ワンタン麺」だ。
注文してから約5分。恭しく眼前へと供された「ワンタン麺」は、特に自家製手打ち麺が驚くほどハイレベル。麺が口内へと飛び込んだ瞬間、その瑞々しい香気によって、頬が落ちそうになる感覚を明確に実感することができる。麺のクオリティがおしなべて高い「白河ラーメン」提供店舗の中でも、啜り心地、風味共に頭ひとつ抜きん出た完成度を誇り、思わず、大盛を頼まなかったことを後悔したほどだ。 鶏ガラと豚ガラを絶妙なバランス感覚でブレンドした出汁感豊かな清湯スープも、穏やかなテイストでありながら、内に秘めたるパンチ力があり、食べ終わりまでレンゲを持つ手を止めることができない。ワンタンの衣に数本の麺を包み込み、スープと共に勢い良くすすり上げれば、幾種類ものうま味が舌上で一体化し、味覚中枢を心地良く刺激。食べ手を桃源郷の境地へと誘う。 食べ終わる頃には、2時間待ちの苦労も、どこかへと吹き飛んでしまっていた。