香港民主派指導者ら45人に禁錮4~10年…国安法違反判決、活動に決定的な打撃
【香港=鈴木隆弘】香港の高等法院(高裁)は19日、立法会(議会)選挙に先立ち民主派が2020年7月に行った予備選を巡り、国家安全維持法(国安法)違反に問われた45人に禁錮10年~4年2月の判決を言い渡した。国安法違反事件としては最大規模で、被告には民主派の主要人物も含まれ、活動が低迷する民主派に決定的な打撃となった。 【図】国家安全維持法事件の構図
裁判では47人が起訴された。罪を認めなかった16人の審理が行われ、高裁は5月に14人を有罪、2人を無罪とした。罪を認めて審理を省かれていた31人とあわせて、この日は計45人への量刑が言い渡された。
判決によると、被告らは立法会選で民主派の候補を絞り込む予備選を行い、過半数を得ることを目指した。その上で政府予算案を否決し、政府トップの行政長官を辞任に追い込もうとしたとして、「香港政府の法執行への重大な妨害、破壊だ」と認定し、国安法の国家政権転覆罪に当たるとした。
予備選を企画した戴耀廷・香港大元准教授は「首謀者」とみなされ、最も重い禁錮10年の判決が下った。戴氏は14年に起きた道路占拠運動(雨傘運動)につながった街頭行動の発起人としても知られ、民主派の活動を理論面から支えてきた。
被告の中には、立法会選に立候補を目指した民主党や公民党、社会民主連線など多くの民主派政党の関係者も含まれる。著名な若手民主活動家の黄之鋒氏も禁錮4年8月の判決を受けた。黄氏は民主派団体「香港衆志」(デモシスト、20年に解散)の幹部だった。
国安法の施行で民主派の活動はすでに低調となっている。予備選を通じて変革を目指す場だった立法会も、選挙が延期された上に制度も親中派に有利な仕組みに変えられ、21年12月の選挙で民主派は一掃された。今回の判決によって民主派からは、「これまでもデモを行わず、何も話さないようにしてきたが、さらに慎重にならざるを得ない」(劉慧卿・民主党元主席)との声が上がる。