<連載> 今すぐできる終活講座 義父の墓じまいと義母の入院から見えてきた、「お墓」と「お金」の現実 妻の実家が大変②
義父の相続手続きが終わった矢先、義母が倒れるという事態に見舞われたのは、終活や相続のスペシャリストの齋藤弘道さんです。前回は、救急病院に搬送された後の転院先についてさまざまな選択肢があることをまとめました。今回は、終活を考える際に切っても切れない「お墓」や各種費用の支払い、意思能力のない家族のための支払いについてお伝えします。
義父の墓じまいにまつわる検討事項
昨年、義父が亡くなり、その遺骨は義父が熱心に信仰していた宗教団体の墓園に埋葬しました。そのお墓には、義父方の親族が合わせて4人眠っています。しかし、義母の宗教への見方はだいぶ義父とは異なっていたうえ、その墓園は遠方にあるため墓参りするのが大変なこともあり、義母は「いずれは墓じまいをして家の近くの霊園に遺骨を移したい」と、娘である私の妻に話していたそうです。 そこで、妻が義母の代わりに宗教団体の墓園に行き墓じまいの方法について相談したところ、次のような検討事項があることがわかりました。 ●離壇料(お墓を移したり撤去したりして寺などの檀家<だんか>をやめること)などは不要だが、お墓の撤去費用が数十万円かかる。 ●遺骨は一人ひとり別々の状態ではなく「土に還(かえ)る」状態である。 ●お墓を撤去する際に、お坊様に読経をお願いするかどうか。 ●役所には改葬許可の申請が必要。 ●改葬許可を得るためには、新たな納骨先が決まっていることに加え、遺骨の受入証明書(改葬先の墓園などが故人の遺骨を受け入れる証明として発行するもの)が必要。 お墓の撤去手続きや費用などは別途検討することとして、まずは新しい納骨先(お墓)を探すことになりました。
意外と知らないお墓の選択肢
この終活講座の「実家とお墓③」(https://www.asahi.com/relife/article/15291428)でもお墓の選択肢を考えましたが、お墓には大まかに以下のような分類があります。 ■運営主体別(埋葬する墓地の場所) ・公営墓地 ・民営墓地 ・寺院墓地 ・みなし墓地 ■お墓や供養のスタイル別 ・一般墓 ・納骨堂 ・樹木葬 ・永代供養墓 ・散骨 ■埋葬される人別 ・家墓(いえはか)/累代墓(るいだいぼ) ・両家墓(りょうけぼ) ・個人墓 ・夫婦墓 ・共同墓 妻の実家のお墓は義母の希望も踏まえ、「民営墓地」かつ「一般墓」かつ「家墓」で探すことにしました。