”DV逮捕”の道渕を電撃解雇したJ1仙台に隠蔽疑惑…問われる管理責任と納得のいく説明義務
道渕が契約解除の理由となった「認知していなかった事実」とは何を示すのか。 会見での説明では、逮捕された事実ではなく、記事に掲載されていた、自らに包丁を突きつけ「死んでやる。一生後悔し続けろ」と罵る映像から撮った写真や、執拗に言葉の暴力を行ったライン上の文言などが「認知していなかった事実」と説明された。 仙台市で生まれ育った道渕は中学年代からベガルタのアカデミーで育ち、明治大学をへて2017シーズンにヴァンフォーレ甲府へ加入した。しかし、その7月に都内で今回とは、別の女性に対して暴力を振るったとして逮捕された。処分保留のまま釈放され、最終的には8月31日に不起訴処分となった。 このときも警察発表はされなかったものの、事態を重く見たヴァンフォーレが道渕の拘留中に逮捕された事案を発表。不起訴になった翌日の9月1日には、残るシーズンの出場および活動停止、3カ月間の減俸20%、12月までの社会貢献活動の実施を言い渡したことも発表された。 2019シーズンから生まれ故郷仙台のクラブへ移籍した道渕は、豊富な運動量と突破力で右サイドハーフの主軸に定着した。アカデミー出身という経歴は、将来のプロを夢見る地元の子どもたちの憧れとなるだけに、管理責任をもつベガルタは契約解除に至った詳細を説明する義務を負っているはずだ。 しかし、菊池社長以下のベガルタの経営陣が取ってきた対応は、3年前のヴァンフォーレとは対照的だった。逮捕という事実の有無を主体的に調べることなくその事実を隠蔽したまま、道渕をリーグ戦の舞台に復帰させた。『フラッシュ』の報道がなければ、契約解除に至っていなかったのかもしれない。 新型コロナウイルス禍に見舞われているサッカー界で、ベガルタは大きな経営ダメージを受けているクラブのひとつだ。収入の二本柱となるスポンサー収入、入場料収入ともに予算から大幅な減収を余儀なくされ、2020年度決算で3億円を超える債務超過に陥る事態に直面している。