「交際相手に障害のある弟の話ができなかった」恋愛や結婚に憧れるも「きょうだい児」の女性弁護士は「悩んだ末エリートコースを蹴って」
── 32歳でご結婚されましたが、相手を探すために努力もあったのでしょうか。 藤木さん:そうですね。きょうだい児の自分とわかり合える人が理想で、親が離婚しているとか、家庭環境で苦労した方を探しがちでした。でも大変さの種類が違うのでわかり合えず、口論になることもあって。そういった経験から、障害について理解がある人と結婚したいという思いが高まりました。「きょうだい会」でも、結婚している人全員から話を聞いたんです。それで、きょうだい児の活動をしている弁護士だということを最初からオープンにして「きょうだい児である私を受け入れてくれること」を第一の条件にしました。ただ、最初からオープンにはせず、きちんと関係性ができてから話したほうがいいという考え方もあるので、一概にはこうすべきとは言えませんが。
── パートナーは障害者について詳しい方だったのですか。 藤木さん:そうですね。夫は障害者関係の委員会で出会った弁護士です。夫はきょうだい児ではありませんが、大学時代から家族の介護にかかわっていて、理解がありました。周りになかなか話しづらいよねとか、そういう感覚が一致して。私は結構、突き詰めて考えるタイプですけど、夫はまったく違って、おおらかに構える感じなのがいいなって。
■弁護士になり、父からやっと認められて ── ご両親や弟さんとの関係に変化はありましたか。 藤木さん:弁護士になって、やっとひとつ宿題が終わったという感覚はありました。父と4年間一緒に働いた後、結婚を期に独立したのですが、ようやく父に認められた感じがして。父が仕事に関してすごく一生懸命やっている姿を近くで見られたのもよかったです。 ── お父さんとぶつかることは減りましたか。 藤木さん:そうですね。いさかいする気力もお互いなくなってきたので(笑)。きょうだい児の活動について複雑な思いはありつつも、「和子の自由だから」と応援してくれて、著書を買って周囲に配ってくれたり、ありがたいなと思いますね。弟と母も、「お姉ちゃんは頑張ってきたんだし、好きなことをやればいい」と応援してくれています。