原子力規制委・田中委員長の会見(全文1)汚染水問題と高浜仮処分について
福島第一での汚染水の問題と高浜原発の運転差し止め仮処分について
司会:もう2つ、委員長に伺いたいことがありますけれども、1つは福島第一での汚染水の問題です。以前のように何か漏洩が発生したというようなことが大々的に伝えられるということはありませんけれども、まだ東京電力のほうではいろいろ苦労してるんではないかと思うのが1つと、それからもう1つが、この間出ました高浜に関する仮処分について何かお考えをお聞かせいただければと思います。 田中:福島第一について、汚染水の問題、今、言及されましたけれども、福島第一についてみると、私どもの評価としてはいろいろ、非常にリスクがいっぱいありましたけれども、だいぶ大きなリスクは措置されて、大きな事故が今後起きるという心配はほぼなくなってきてると。これから計画的に廃止措置を進める段階にきているというふうに評価しています。 その中で、汚染水問題も基本的には浄化、ALPSという装置を使って浄化して、排出濃度基準以下になったものについては海洋に放出するというか、そういうふうにすることを私どもとしてはリコメンドしてるんですが、1つはトリチウムはなかなか取り除くことができないので希釈して排水することになるっていうのは、廃棄することになると思いますけれども、いろいろありますけれども、国際的に見てもトリチウムを除去するっていうことは技術的にほぼ不可能に近いことですから、どこの国も皆、排水しています。 国会でもいくつかのところで、きのうも日本プレスセンターでも申し上げましたけども、1Fに内蔵しているトリチウムの量は3400兆ベクレル。ですが、トリチウム水にすると57ミリリットルです。これが57ミリリットルです。全て集めても、タンクの中はこれの3分の1ぐらいですね。これを、今、80万トンぐらいのタンクに水がたまっていますが、その80万トンからこれの3分の1を取り除くっていうのはほとんど不可能だと思いますんで、いずれそこはなんらかの措置を、東京電力なり、していく必要があると思います。 それで、国会でも申し上げましたけども、漁業者が反対しているのは安全の問題ではなくて、どちらかと言うと風評被害の問題です。社会的、経済的問題ですから、これは私どもが努力することではなくて、もっと政治とかそっちのほうで努力していただきたいということは申し上げています。まずそこまで。 1Fについてはいろいろ申し上げたいこともありますけど、ご質問はContaminated waterの話ですから、これぐらいです。高浜の裁判については、実は私は今、ここでコメントをする立場には。一応、司法は司法といって、わが国は三権分立ですから、昨日のプレスでも聞かれたんですけれども、特に今、申し上げることはありません。ただ、規制が不十分、福島の事故が全部解明されてないから不十分だというところも、そういう記述もありますけれども、私どもとしては福島の事故の原因についてはずいぶん注意深く分析して、いろいろそれを踏まえた形でのレギュレーションを作りましたし、われわれの現在のレギュレーションはIAEAとか世界のいろんな経験も踏まえて、かなりきちっと作ったつもりでいます。 特に、わが国は地震とか津波とか自然の環境が非常に厳しい状況にありますので、そういったことについて、いわゆる外的要因についても十分に対策を取っていただく、取ってもらうという格好になっています。だから当面、今回、大津の裁判が出たからといって、現在われわれが行っている規制を、中身を変える必要はないというふうに今、思っています。 司会:(英語) 通訳:ありがとうございます。それではご質問、最初はワーキングプレスのメンバーの方から。後ほどもしお時間があれば、ほかの方にもご質問を受けたいと思います。 司会:(英語) 通訳:お1人1問で、あと、お名前とご所属を最初におっしゃってください。