アメリカの国家試験をトップ1%で合格した日本人医師が実践した「白紙勉強法」とは
さらに、誰かに教えているフリをしながら、アウトプットすると、より効果は高いと思います。「Learning by teaching(教えることで学ぶ)」、「Teaching is learning(教えることは学ぶことである)」とよく言われるように、誰かに教えることは、実際に情報の整理や記憶の定着を促す効果が確かめられています。 誰かに教える、または教えようとすることで、その学習内容の理解が深まることをプロテジェ効果(Protégé effect)と言います。興味深いことに、実際に誰かに教えなくても、あとで誰かに教えることを前提に勉強すると、学習効果が高まるという研究報告があります。よく成績の良い生徒が他の生徒に教える光景を見ることがあるかもしれませんが、実はより効果の高い学習をしているのは「教えている側」なのです。 僕は、昔からこうした科学的根拠を知っていたというわけではありません。この「ブツブツ呟いて教えるフリをしながら書き出す白紙勉強法」という僕が行ってきた地味な勉強法が、学習において大切なテスト効果にプロダクション効果とプロテジェ効果を合わせて利用した勉強法であることを、あとになって知りました。 そうしていったん紙にアウトプットし終えたら、次に②、わかっていないこと、忘れていることについて教科書を見直し、情報を確認します。アクティブリコールはそれだけでも効果があるのですが、内容を見直すというフィードバックがあることで、その効果がさらに上がります。1回読んだだけで、覚えたいことの全部をアウトプットできることは少ないので、できれば満足する情報量をアウトプットできるようになるまで、アウトプットしては知識を確認(フィードバック)することを繰り返します。 実際に知っている以上に、知っていると勘違いしがちな自分の脳に騙(だま)されない、すなわち「流暢性の錯覚」に陥らないためには、このような作業の繰り返し(③) によって自分の脳を常に試すことが大切です。 さらに、有効な学習方法である「分散学習」と組み合わせるために、④時間をおいてまた、できるだけ思い出して書き出していきます。この際の間隔については、インプットした情報の難しさ、自分がどれくらい覚えているかによって異なってきます。 個人的には、やや難しく新しいことを覚える場合は、その日のうちに1回、次の日に1回、さらに間隔をあけて繰り返すと効果的だと思います。 『科学的根拠に基づく最高の勉強法』 私たちが今まで慣れ親しんだ、繰り返し読む(再読)、ノートに書き写す・まとめる、ハイライトや下線を引く、といった学習法は、実は身につきにくいやり方だった! 覚えたことを思い出す、人に教えられる=アウトプットこそが成長につながる。医者である著者が、研究によって検証された効率的な勉強法を論文からひも解き、実践方法まで大公開する一冊。 ¥1,760/KADOKAWA
TEXT=安川康介