アメリカの国家試験をトップ1%で合格した日本人医師が実践した「白紙勉強法」とは
「自分が行ってきた勉強法が、科学的にも効果の高い勉強法だった」と語る医師・安川康介氏が、アメリカの医師国家試験をトップ1%で合格した際に実践していた勉強法を明かす。『科学的根拠に基づく最高の勉強法』(KADOKAWA)の、一部を抜粋・再編集して紹介する。 【写真】「ノートに書き写す・まとめる」は科学的効果が低い!?実はイマイチな勉強法
医学の知識を覚える時に使った勉強法
僕が医学の膨大な知識を覚えなければならない時に使ってきた、そして今でも使う「ブツブツ呟いて教えるフリをしながら書き出す白紙勉強法」を紹介します。 長ったらしい、大そうな名前を付けてみましたが、至ってシンプルな勉強法です。 用意するものは次の3つだけです。 (用意するもの) ▪ 自分の勉強したい情報:英単語帳、学校の教科書、資格試験の参考書、興味のある分野の本、新聞雑誌など ▪ 白紙:要らないノート、使わないプリントの裏など(僕は、プリンター用紙をよく使いますが、何でも構いません) ▪ 書くもの:自分の好きな書き心地のペンや鉛筆(ちなみに、僕はZEBRA 社のSARASA Clip 0.5 をよく使っています) やり方も、至ってシンプルです。 ①英単語のリスト、教科書の章や段落、新聞や本など、覚えたい情報をまず読みます。その後、その情報を見ないで、覚えたい内容を、白い紙にできるだけ書き出していきます。 その際のポイントは、元の情報を見ない、つまり記憶の手掛かりがない状態で頑張って記憶から内容を引き出すことです。アクティブリコール(編集注:勉強したことや覚えたいことを、能動的に思い出すこと、記憶から引き出すこと)の劇的な効果を示したカーピックらの行った研究でも、学習者がしたことは、学んだ内容をただ紙にできるだけ書き出す、パソコンにできるだけ打ち出すというとてもシンプルなものでした。 あとに残すためのノートを書くわけではなく、ただアウトプットするためだけなので、文字を綺麗に書く必要はありません。僕はもともと字が汚いので、このアウトプットの書き出しは、自分でも読めないくらいの字で書きなぐることがあります。 覚えにくい内容や難しい内容の場合、声に出しながら書くようにします。これは、ある情報をただ黙読するよりも、書き出したり、ブツブツ呟いたり、声に出したりしたほうが記憶に残ることが知られていてプロダクション効果(Production effect)と呼ばれています。 過去の研究では、おもに情報の入力段階において効果が調べられていますが、僕は最初に覚えようとする段階(最初に情報を読んでいる段階)、そして思い出そうとする段階の両方で使うことがあります。