バスガイド経由アナウンサー行き。田中晴子の夢を叶えるための「まっすぐな努力」
◇「好きなことを仕事に」夢を叶えた瞬間 そして、バスガイドを始めて5年が経った頃、田中さんにまた新しい風が舞い込む。 「バスガイドとしての経験を積み上げていくにつれて、“もっともっと声でできることを増やしたい!”“スキルを磨きたい!”と思うようになっていました。そんな毎日のなか、知人を介して出会ったのが、樋田かおりさんだったんです」 樋田かおりさんは、日本テレビ系列「青森放送」の元アナウンサー。現在はトークナビの代表を務めている。 「樋田さんからトークナビのお話を聞いたときに、“私がやりたいことはこれだ!”と思ったんですね。だって、企業のビジョンが『声で、未来を変える』だったんですよ? 本当に私の考えにぴったりで、ワクワクしました。すると、ちょうど会社で採用オーディションをおこなう予定があるとの話を聞き、すぐさま参加を決意しました」 アナウンサーを採用するオーディションとはどのようなものなのか、少しだけ内容についても教えてもらった。 「まず目の前には、凜とした雰囲気のアナウンサーの方々が5人ほどいました。1本のマイクを持って自己紹介と質疑応答をしました。ほかの受験者の自己紹介を聞く機会があったのですが、元局アナの方が多くて“私って、場違い?”と思ってしまったのをよく覚えています。 しかも、皆さんワンピースに白いジャケットを着こなしていて、まさにアナウンサーといった感じ。リクルートスーツで参加したのは、私だけだったかもしれません(苦笑)」 心配をよそに、無事トークナビへの入社を果たした田中さん。トークナビは、テレアポやオペレーターなど声を使って仕事をしてきた人、仕事にしていきたい人も積極的に採用していた。彼女の「声」に関する思いが、しっかりと伝わったといえるだろう。 とはいえ、5年間、バスと家を往復する生活を送っていた田中さんにとって、トークナビでの仕事は初めてだらけだったという。 「右も左もわからないとは、まさにこのことでした。パソコンでメールをやり取りして、名刺を交換して……。ビジネスの動きに関しては、私は素人同然だったことを実感しました。先輩や樋田さんからは、“晴子を育てるのは本当に苦労した”と今でも口を揃えて言われています(笑)」 持ち前のまっすぐな努力により、ビジネスマナーを含めて、とにかく場数を踏んで仕事を覚えていった田中さん。営業・イベント司会・ 研修の現場など、ノウハウを吸収できるところには積極的に顔を出した。 そして、そんな一つひとつの行動が身を結んだのか、ついに田中さんへテレビ生放送リポートの仕事が舞い込む。それはまぎれもなく、小学生の頃に描いたアナウンサーそのものの姿だった。 「初めてのリポートの仕事では、人生で一番緊張して、人生で一番うれしい瞬間を味わいました。実際の放送を見たとき、家族みんなが喜んでくれていて、私は夢を叶えたんだなと実感しました」 ◇「好き」を突き詰めると見えてくる美しい景色 「声」を軸にして、さまざまな業務を展開している株式会社トークナビ。テレビ局のアナウンサーとの違いはどのようなものなのかという疑問が湧いた。田中さんが実際にしている仕事内容を聞いてみた。 「まずは、伝える力を活かした広報アナウンサーとしての仕事です。企業の広報担当と連携し、メディアとの良好な関係の構築(メディアリレーション)を担います。たとえば、企業が発信したプレスリリースを、私が新聞やテレビなどの媒体に個別アプローチし、ともに認知拡大を目指すような動きをしています。 そして、司会の仕事。企業がおこなう入社式や周年パーティーの司会進行。また、YouTube番組でファシリテーターの役割を担うこともあります。 あとは、社員向けの研修やセミナーの講師ですね。私が現在メインで担当しているのは、広報関連の研修です。企業がこれから広報担当者を育てたい需要をキャッチし、『広告と広報の違い』のようなところから丁寧に指導をおこなっています」 アナウンサーの伝える力を活かし、幅広い仕事をしていることを教えてもらった。トークナビで働く魅力についても尋ねた。 「声で未来を変えたいと思う同志がいることが、トークナビで働く魅力であり、私のモチベーションです。ほかにも、個人評価よりも、チームの連携を評価する雰囲気も大好きなんです。私にとってトークナビは、つながりを実感しながら働ける大切な居場所です。 また、広報の仕事をしているからこそ、経営者の気持ちになって営業ができたり、講師として実体験を提示しながら教えられたり……。そんな相乗効果が、自分をどんどん成長させてくれるんです。そう考えると、『声』を軸にして、人だけではなく全ての仕事がつながっているといえますね」 そう話す田中さんの「声」は、まっすぐに私の心へ届いた。そんな前を向いて働き続ける彼女に「好きなことを仕事にする」ことについてを聞いた。 「『好き』だからこそ、突き詰められるものがあると思います。私がアナウンサーになるためにまっすぐ努力をしてこれたのは、好きな気持ちがあったからこそ。私の『声』でつないだ仕事で、全員が喜んで、笑顔になる。『好き』を突き詰めなければ、見ることができなかった景色です」 友人に結婚式の司会を頼まれたとき、田中さんは「声」で、その日を最高の一日にするため尽力したそう。それは“晴子に頼んでよかった”“本当にステキな声”……そんな言葉となって彼女に届いた。好きを突き詰めると、何ものにも変えられないものを得られる実感をしたという。 最後に、これからも関わった人を「声」で幸せにしていくであろう彼女に、アナウンサーとしての今後の目標を聞いた。 「今の目標は、海外で活躍するイベントMCになることです! トークナビは、そんな新しい挑戦をどんどん受け入れてくれる会社なので、私にぴったりの会社です。言葉の壁を越えて、もっともっと広い世界に私の声が届くように。あらたな夢を叶えるため、これからもまっすぐ突き進んでいきます!」 (取材:川上 良樹)
NewsCrunch編集部