増え続ける市営住宅の空室問題を解決!? ひとり親やDV被害者、外国人など住まいに困っている人への居住支援、生活協同組合が窓口に 兵庫県尼崎市「REHUL(リーフル)」
公営住宅の空室の増加に伴い、全国の自治体で「公営住宅を住まいに困る人たちへの支援(居住支援)に活用したいが、入居募集のしくみや使用目的の制限により、実情に則した形にできていない」という話を聞きます。そのようななか、兵庫県尼崎市では2022年より生活協同組合コープこうべが中心となって市営住宅の空室の活用を開始。ひとり親やDV被害者、外国人などの入居がどのような仕組みによって実現可能となったのか、尼崎市の篠原瑛太(しのはら・えいた)さん、コープこうべの前田裕保(まえだ・ひろやす)さんに聞きました。
増え続ける市営住宅の空き室問題を解決するために
兵庫県尼崎市が行っている事業「REHUL(リーフル)」とは、市営住宅の建て替え計画によって入居者募集を停止することで増えた空室を、住まいに困っている人の自立支援や、地域活動団体の活動の拠点として活用しようとする事業。同時に、市営住宅の自治会の活動支援や市営住宅周辺地域のコミュニティ活性化を狙うものです。
公営住宅は、多くの自治体で人口の減少や高齢化率の上昇などの問題を抱えており、耐震性に課題のある老朽化した公営住宅も多くなっています。
また自治体側の管理体制が行き届かないことや財政の圧迫も相まって、年々、戸数を減らす傾向にあります。尼崎市の状況も同様で、2016年に策定した「尼崎市営住宅建替等基本計画」に則って市営住宅の建て替えや廃止を進めてきました。2024年4月(令和6年4月)時点では、市営住宅管理戸数223棟1万259戸のうち、入居戸数は8078戸。残りの2181戸強は空室(図内では空家と表記)になっています。 増加している空室の多くが建て替え・廃止の対象住宅で、篠原さんは「住人が減り、人の目が行き届かなくなることで、防犯性の低下も問題になっている」と言います。さらに、入居者が増えないので、自治会活動が停滞し、役員のなり手不足や、入居者同士の交流が減ったり、共用部の清掃や共益費など、一人当たりの負担が増えたりと、弊害も多く見られるようになってきました。
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