3位は杉咲花、2位は宮本信子、1位は…国内ドラマ「2024年俳優ランキング」女性部門ベスト10
2024年に日本国内で放送・配信されたドラマで、評価するべき俳優はだれか。ドラマ偏愛コラムニストの吉田潮さんが作成した「2024年俳優ランキング」を紹介する。第2回は女性部門ベスト10――。(第2回/全3回) 【図表】超主観&偏向的「ベスト俳優ランキング2024」女性編 ■「有能なのにちょっとおバカ」がハマり役 超主観&偏向的「ベスト俳優ランキング2024」、女性部門は上位が早々に決まった。「面白いドラマを珠玉の役者陣で」という志を貫く制作陣が残っていると実感した。「この作品の運命を託すなら彼女しかいない」という熱い思いも伝わる。ではいく(最近よく観ているYouTuberのマネ)。 10位タイ 小池栄子 32点 詐欺師の説得力と元軍医の破壊力 同点10位、まず小池栄子は「地面師たち」(Netflix)で魅せたリアリティを評価。地面師詐欺グループの紅一点だが、弱者の人心掌握が巧みな手配師役がしっくり。地主になりすまし、機転で乗り切る場面は手に汗握ったものよ。 主演作「新宿野戦病院」(フジ)では岡山弁とわかりやすい日本人英語でまくしたて、媚びのない顔芸で盛り上げる元軍医役。日本では非常識や無神経とされる言動だが、医師、いや人間としてはまっとうなヒロインを演じきった。有能なのにちょっとおバカな要素を残してくれる小池、最高よね。 10位タイ 土居志央梨 32点 意志を貫き、ツンとはするがスンッはしない もうひとり、土居志央梨はNHK朝ドラ「虎に翼」でヒロイン・寅子の盟友・山田よね役で脚光を浴びた。虐げられた背景を抱え、男装と弱者救済を貫いた芯の強さを体現。寅子と絶交状態にもなるが、友情は未来永劫続くと思わせた。頼もしくも憎らしくも愛らしくもあり、物語の中で尊い存在になった。 その後「無能の鷹」(テレ朝)では、変人扱いされてはいるが優秀なエンジニアを演じた。世間や常識にとらわれず自分のスタイルを貫く役は、土居の看板のひとつになりそうだ。 ■出演作によって印象がガラリと変わる 8位 伊藤万理華 33点 呼吸が自然体、作品ごとで別人級に変貌 出演作によって本当にガラリと印象が変わる、不思議な俳優のひとり。今年はまず「PORTAL-X~ドアの向こうの観察記録~」(WOWOW)で演じたカメラマン役。現状とは異なる歴史をたどった並行世界「PORTAL」が複数存在するというモキュメンタリー作品。 明らかに危険なPORTALヘ取材に行かされ、恐ろしい真実を知ると同時に悲劇に見舞われるが、息遣いがリアルで驚いたのよ。セリフは少ないのに強く印象に残った。気配をすっと消すこともできるのよね。 また「燕は戻ってこない」(NHK)で演じた、ヒロインの同僚役も「あーこういう感じの子、おるなぁ」と感心しきり。仕事も生活も男関係もすべてがゆるくて不安定、衝動的な割に自分の人生の土台をちゃっかり固めるタイプを好演。貧困の愚痴と社会への呪詛を滑らかに吐き出し、飄々とサバイブする姿がたくましかった。 主演作「パーセント」(NHK)で演じたのはテレビ局員。障害をもつ俳優を起用したドラマ制作に奮闘する。車椅子の女子高生俳優(和合由依)の演技に惚れこんで口説くのだが、さまざまな壁にぶち当たる。ドラマが好きでも情熱が空回りする様を、みずみずしく演じた。3作品とも高評価としたい。