3位は杉咲花、2位は宮本信子、1位は…国内ドラマ「2024年俳優ランキング」女性部門ベスト10
■実質上は1位なんですが 7位 坂井真紀 40点 母という生き物を生々しく&香ばしく表現 今年はいろいろな母ちゃんを演じていたなぁ……。娘にたかり、男にだらしない母(「若草物語」日テレ)、自身の離婚&再婚を機に、娘との距離感をつかめずにいる母(「くるり」TBS)、他にも未来から来たり、事故で亡くなったり……。 2023年放送(今年再放送)された「家族だから愛したんじゃなくて、愛したのが家族だった」(NHK BS)の母役が好演で、母親役のオファーが殺到したのではないかと推測する。 で、今年最も強く瞼の奥によみがえるのは「季節のない街」(テレ東)で演じた母だ。ヤンチャな長男(YOUNG DAIS)を溺愛するあまり、優しい次男(仲野太賀)を蔑ろにしまう、何というか、やや問題のある母親だったが、すごくリアリティがあった。子育ては公平にはいかないもので、偏ってしまう皮肉を表現。「子の心、親知らず」ってやつだ。 母役需要は今後もしばらく続くだろう。 6位 伊藤沙莉 41点 1位でもおかしくない、歴史に残る名演 もうすでにお気づきとは思うが、「虎に翼」が面白すぎたため、記述もつい増えてしまう。その座長がなぜ1位じゃないのか? これは他の作品の出演がないからである。佐田寅子に捧げた数年を評して、実質上は1位でもある、と言いたい。 時間に制限のある朝ドラで、たった数秒間でも意味と意義と奥行きのあるカットとして表現したヒロインだった。鍛え上げた芝居の筋肉で笑いも涙も誘う一方で、怒りが根底にあるヒロインを見事に演じきった。怒りの表現力がとにかく抜群だ。歴代の中で最も聡明で知的なヒロインを完走した沙莉、次の作品が楽しみ。 ■次回朝ドラに対する期待と不安の二つ在り 5位 河合優実 43点 コミカルに父娘の愛を変化球で魅せた適役 なんでもありの野蛮な昭和と、コンプラ重視でぎすぎすした令和を行き来する「不適切にもほどがある!」(TBS)で、主人公の父(阿部サダヲ)とともに、切なくも笑える物語を牽引。父娘の口汚いが愛のある喧嘩も見ものだった。 80年代のツッパリかわいこちゃんに説得力をもたらしただけでなく、強がっているが寂しさを見せまいとする健気さにも心奪われた。歌もうまかったよねぇ。「RoOT」(テレ東)では、事件を追いつつも自分の過去と対峙する若き探偵役。自然体の怪物だ。 今後の活躍が楽しみな若手のひとりだが、テレビドラマで観たい気持ちと、逆に駄作で消費されてほしくない気持ちがある。来年の朝ドラは大丈夫かな。