双子育児に忙殺される私と、「ギャンブル依存症」の夫。病院で「旦那さんが治らないのは発達障害が原因だから」と言われて【医師監修】
私は「カサンドラ症候群」なの?
遠藤さんは、長年夫と暮らすうちに自分がカサンドラ症候群かもしれないと思いました。 「夫はASDとADHDなのですが、ASDの特性ゆえに会社で社員さんとうまくコミュニケーションが取れず、私ともうまくいきませんでした。うまく説明するのが難しいのですが、すごく優しいのに私が傷つく行為ばかりするので、そのギャップに苦しんでカサンドラになったのかもしれないという感じです」 そして、あれだけ真剣に話し合って「辞めよう」と約束したのに、辛そうにしながらもまたギャンブルに通い続ける夫を目の当たりにして、遠藤さんは疲弊し、体調が悪化していきました。 主な症状は、気分の落ち込みやイライラ、空虚感、めまい。円形脱毛症になったこともあるそうです。 何をどうしたらいいのか全くわからず、暗いトンネルに迷い込んだ気がしていたという遠藤さん。自身が精神科にかかったことはありませんが、息子や夫の付き添いで常に精神科に通っているので、医師や心理士さんとは繋がっています。 「夫の主治医に『もっと理解してあげて』と言われて、更に落ち込んだこともありますが、息子の病院には毎回救われました。息子がカウンセリングを1時間受けている間、なぜか毎回心理士さんに『お話聞かせてください』と別室に呼ばれました。 保護者から息子の様子を聞くという目的があったと思うのですが、当時の私があまりに疲弊していたため、あれは私のカウンセリングのような意味合いもあったのかなと感じています。 夫も頭の中では思い描けているんです。職場でも、こうしたらうまくいくっていうのが映像として仕上がっているのに、実行に移せない。それができないタイプらしいです。その苦しさが根底にあるから、ギャンブルに走ってしまったのだと思います。」
支えていきたい…でも離婚したい
遠藤さんは、何度も離婚したいと思いました。 「実際に実行に移そうと思って、実際に行動したこともあります。役所に問い合わせの電話をしたこともありますし、離婚届をもらってきて自分のところだけ記入して、『次やったら出すね』と告げたこともあります。でも、実際には離婚しませんでした。行動に移さないというか、移せなかったのです」 カサンドラ症候群が一番辛い時に、「このまま一緒にいたら私壊れちゃうな」、と思ったこともあるという遠藤さん。その時はさすがに離婚しようと思って、離婚届を書いたのだそうです。そして子育ての手当、引っ越しなどについても考えました。 「私の稼ぎがいくらで、引っ越し先の家賃がいくらでと、離婚後経済的にどうなるかバーッと書き出した時に、『あ、無理ではない』と思いました。でも、当時息子がASDグレーゾーンと言われて病院に通っていたんです」 もし離婚したら、せっかくいい病院が見つかったのに、環境を変えないといけなくなってしまう。引っ越しだけでなく、自分がまた正社員に戻ってバリバリ働き始めたら、絶対イライラしてしまうと思って離婚は諦めたという遠藤さん。 「無理だなと思ったのです。離婚しないというよりも、できなかった。自分の気持ちを切り替えていくしかないと思いました」