原発のごみ、日本に埋める場所ありますか? 1.なぜ地下に埋めるのか?
それで、金属がどれくらい持つかという知見がなんかで得られないかというので、いわゆる考古学的な資料を活用した研究も得られています。これは何かというと、ローマ時代に鉄くぎが、ローマ軍とかが入ってきたときに奪われないように、実は地下に埋設した事例があります。これ、スコットランドで見つかったんですが。そのときに、得られた鉄くぎがどれくらい腐食しているかと。 で、実はこれは2000年前っていう時間も分かっていますので、その2000年前から今までどれくらいが腐食したかっていうのを調べることによって、その腐食速度が分かると。実際に2000年間かけるような実験っていうのは大学でもできないので、こういったものを活用して、さっき言っていたオーバーパックがどれくらいで溶けるのかっていうのが、換算できるというのですね。 これ、実際2000年前のそのローマ、このくぎです。ここで発見されたくぎなんですけど。私も調査に加わって、そして地元の学芸員の人から譲ってもらったんですが。こういったものからどれくらいの腐食量があるかと。ただ、これが1万年も10万年も持つかというと、なかなかそれは厳しいものはあります。なので、そういったものの知見と併せて地層処分のバリア機能というのを把握しようとしているというところです。 そういった中で、地層処分以外の方法ってじゃあ、ないのかということもやっぱり、知識として知っとく必要があると思うんですね。これは1960年代からかなり検討されてきていまして、例えば海洋底に処分する。あるいは南極だとかグリーンランドの氷の中に処分する。あるいは、宇宙に処分する。こういった議論っていうのはされてきています。ただ、宇宙なんかでは、これも私の大学院のときの現象であったんですけど、1986年にこのチャレンジャー号というのが飛んでいる最中にばんと爆発しちゃってもう、飛び散っちゃった。もし、こういったものに廃棄体が入っていると、もう大気圏といいますか、大気中にばらまいてしまうことになりますし、1回上げるのに相当なコストもありますので、そういった意味でかなり厳しいと。 あるいはほかのものについても、基本的には、南極は誰の国の土地でもありませんし、海洋も公海条約、あるいは現在は海洋底の堆積物からいろいろなレアアースだとか、そういう元素なんかも得られています。そういう有用性なんかも含めると、やっぱりある1つの国の廃棄物をそこに処分するというのはちょっと違うだろうということを、その国際原子力機関とかいろんなところで議論された上で、基本的には現在は、自分の国の廃棄物は、自分の国で処分しましょうということになっているということです。