テクノロジーの力でM&A情報の民主化を MANDA・森田洋輔社長 単独インタビュー
―既存のM&A仲介会社との棲み分けは
顕在化していないM&Aもあるため、市場は現在よりもっと大きいと考えている。小さいパイを取り合うのではなく、事業承継の課題を解決するためには抜本的に仕組みを変えていかなければならない。 経営者の中には、自身の会社の売却を考えても売り方が分からない方もいる。また、知り合いの経営者や税理士に相談しても、適正なサービスの紹介を受けることができないケースもある。適正なサービスとは「買い手を探すこと」だ。買い手のネットワークがなければ買い手を探すことはできない。買い手のネットワークがデータベース化され、簡単にアクセスすることができれば、買い手探しは簡単になる。 今後、M&A仲介業者に求められる役割も変わってくるはずだ。売り手・買い手を探すことは、テクノロジーで簡単にできるようになる。そうなった時に「アドバイザー」として的確なアドバイスの提供などに業務が変わる可能性がある。
―士業との関わりについて
金融サービスを手がける企業からの紹介で、2020年に一般財団法人日本的M&A推進財団(TSR企業コード: 872515877、福岡市中央区)と業務提携した。この財団は税理士が母体となっており、全国800以上の士業団体のネットワークで構成されている。税理士は顧問先の事業承継に危機感を抱いている。横のつながりでM&Aを実施していこうと考えている。中小企業の3分の1が事業承継の課題を抱えていると言われている(※2)。税理士の顧問先を仮に30社とすると、3分の1の10社が事業承継の課題を抱えていることとなる。 税理士は顧問先の決算書を作成するため、その企業のことを一番に理解しているはずだ。しかし、税理士の中には顧問先の事業内容を十分に理解せず、決算書を作成するケースもある。また、ネットワークがなく、買い手を探すことには不向きな面もあったため、MANDAとの親和性は高く、提携によって事業承継にも取り組みやすくなるだろう。 ※2 TSRの2023年「後継者不在率」調査では、後継者不在率は61.09%だった。代表者年齢が70代の企業では30.53%、80歳以上では23.83%に達している