テクノロジーの力でM&A情報の民主化を MANDA・森田洋輔社長 単独インタビュー
―買い手の充実のためには
売り手の情報は1万9,000件を超えた。MANDAの月間ユニークユーザーは1万3,000人。その内、買い手が約65%を占める。今後は買い手PRページの充実に努め、売り手が直接アプローチできるようにする。また、「買い手のオープン化」も必要だ。悪質な買い手の中には、調べられたら困る情報も多くあるため、情報開示を制限するケースがある。買い手がオープンになれば、悪質な買い手は自然と排除されるであろう。
―倒産村(倒産や事業再生を手掛ける士業、コンサルなどの総称)からの注目も高い
潰れそうな企業を再生するには、スポンサーを見つけなければならない。そのスポンサーが企業を買収し、再生することとなるが、そうした企業を買い手が数千万円でM&Aすることは難しい。また、倒産村の弁護士には、両手仲介に疑問を感じている方もいる。M&Aのマッチングフィーではなく、コンサルティングフィー、デューデリジェンスフィーで取り組むという考えを持っているため、MANDAの考え方と親和性が高く、注目されているのだろう。 ◇ ◇ ◇ 今回のインタビューで、「情報の民主化」、「買い手のオープン化」という言葉が何度も聞かれた。従来のM&Aでは買い手が非公開であるケースが多い。売り手に大量のDMを送付し、あたかも買い手がいるように匂わせる営業活動もある。また、悪質な買い手による企業買収で、売り手がトラブルに巻き込まれるケースも増えている。 買い手情報が積極的に公開された場合、悪質な業者は淘汰されよう。MANDAの普及は「売り手」が「買い手」を選ぶ時代を意味する。 一方で、「売り手」の魅力を積極的にサポートする士業の力量が問われてくる。 「第三者承継支援総合パッケージ」で打ち出される10年間で60万者(社)の第三者承継は待ったなしだ。 買い手企業の積極的な情報発信で、情報の齟齬を解消し、買い手・売り手の双方が納得できることが事業承継の広がりにつながるだろう。 (東京商工リサーチ発行「TSR情報全国版」2024年9月9日号掲載「WeeklyTopics」を再編集)