日銀・黒田総裁会見6月18日(全文3完)金融緩和は政策として適切だった
2%にこだわる日銀の正当性は
朝日新聞:朝日新聞の原です。2%インフレ目標についてお伺いします。日銀が3月に実施した生活意識アンケート調査によると、物価が上がっていると考えている人は6割、1年後に物価が上がると考えている人は6割。下がると考えている人は6%しかいません。まだワクチン接種も始まっていない段階ですが、国民の間にデフレマインドが粘着的にあるというアンケート調査結果には読み取れないわけですけれども、こういう状況で2%を達成するまで金融緩和はやめないと、当分続けるんだということが、果たして民意にかなっているのかというふうに思うわけですけれども、それでも2%目標にこだわる日銀の正当性というか、2%目標、2%という物価というのは日本でこの30年ほとんど達成してないわけですよね。その2%にこだわる日銀の正当性みたいなものについてどうお考えでしょうか。 黒田:前々から同じようなご質問をされていますけども、われわれは2%の物価安定目標を達成するということは統計の性格とか、政策の余地とか、さらにはグローバルスタンダードになっているということも踏まえて必要だと思っていますし、それに向けて必要な金融緩和措置を講じていくということに尽きると思います。 それから物価の2%がずっと達成されてこなかったことは事実ですけども、他方でその間、特に98年から2013年までの間、デフレが続いたということは大きな問題であり、その中で単にデフレというだけでなくて成長も低下し、失業も増加し、就業率も下がったと。それに対応して2%の物価安定目標を掲げて金融緩和をすることによって、失業も減り、雇用も拡大し、またベースアップも復活し、経済の成長もしてきたということで、その中で物価も徐々に上がってきていたということは、政策として適切であったというふうに思っていますし、国民もそれを受け入れておられるというふうに思っております。 日本経済新聞:それでは質問は以上でよろしいでしょうか。ではこちらで会見を終わらせていただきます。ありがとうございました。 (完)【書き起こし】日銀・黒田総裁会見6月18日