考えてみよう!HPVワクチンの接種
来年3月に期限をむかえるのは子宮けいがんを防ぐためのHPVワクチンのキャッチアップ接種。正しい情報を知り、接種をするか今一度考えてほしいと、キャッチアップ世代と同年代の市長自ら、産婦人科医に話をききました。
■正しく知って、考えよう
子宮けいがんを防ぐためのHPVワクチン。政府が積極的勧奨を中止した期間に接種できなかった世代(1997年~2007年度生まれ)の女性への公費でのキャッチアップ接種は来年3月で終了します。期間内は、通常10万円ほどかかる接種を自己負担なしで受けられますが、9価のワクチンを3回打ち終わるには、9月中に1回目の接種をする必要があります。 「接種について今一度考えてほしい」と訴えるのはキャッチアップ接種の対象と同世代、現在27歳の兵庫県芦屋市の高島崚輔市長。自身の周りでも子宮けいがん一歩手前で見つかった人がいたことから、HPVワクチンについて正しい情報を知ってもらうための発信を続けています。キャッチアップ接種の終了を前に、あらためて接種について知るきっかけを作れたらといいます。今回は、長年HPVワクチン接種の啓発に取り組んでいる産婦人科医の稲葉可奈子先生に話を聞きました。
■HPVワクチンの効果は?大人が打っても意味あるの?
高島市長「改めて、HPVワクチンについて、いろんなことをぜひ専門的な観点からうかがえればと思います」「そもそもHPVとは何ですか?」 稲葉医師「HPV、ヒトパピローマウイルスは主に性交渉で感染するウイルス。今の日本だと8割くらいの方が一生に一度は感染するウイルスです」「誰が持っていてもおかしくないし、感染してもおかしくない。HPVに感染していることは珍しいことでも、恥ずかしいことでも、特別なことでもないんです」 高島市長「特殊な場合のみ感染すると思いがちだけど、そうじゃない」 稲葉医師「その(感染した人の)中で運悪く、例えば女性だと子宮の入り口のけい部のところの細胞に異常が出ることがあって、それが子宮けいがんなどの原因になります」「“予防ができるがん”は感染症が原因のがんか、生活習慣が原因のがん。生活習慣をパリッと変えるのは人間なかなか難しいですけど、感染症を防ぐことはできる」 高島市長「なるほど。そのウイルスの感染を防げるのがHPVワクチン」 稲葉医師「大事なポイントで、ワクチンっていろんな効き方があるんですけど、HPVワクチンは“新たに感染するのを防ぐ”効果がある」「もし接種する時に何らかのHPVに感染していたとしたら、それに対しては特に効果はないので、初めての性交渉よりも前に接種するのが一番有効性が発揮される」 高島市長「すでにHPVに感染している人にはワクチンは意味がない…?」 稲葉医師「いい質問ですね。女性が今接種できる一番有効なワクチンが9価、9種類のHPVの型の感染を防ぐことができる。9種類全部に感染している方ってまずいない」「すでに性交渉の経験があるキャッチアップ世代の人もたくさんいると思う」「もし何か1つ2つの種類に感染しているとしても、それ以外のHPVの新たな感染を防ぐことができるので十分に有効」 高島市長「たとえ性交渉の経験があって、HPVに感染していたとしても、ワクチンの意味がないってことではないと」 稲葉医師「絶対に意味があります」