考えてみよう!HPVワクチンの接種
■キャッチアップ世代がいるのはなぜ?
高島市長「キャッチアップ接種とは」 稲葉医師「2013年に定期接種になったあたりで、接種した後に例えばしびれが出るとか、歩けなくなったとか症状を訴える方がいて、それがセンセーショナルに報道されました。それを受けて厚生労働省が積極的に接種をおすすめすることを、安全性が確認されるまでの間、一時的に差し控えます、としたんですね」「個別通知や予防接種のお便りを(接種対象者に)送らないようになった。その通知が届かないからHPVワクチンを無料で打てる時なんだということに気づかない、報道のイメージで何かちょっと危ないワクチンみたいな感じで打たなかったり」「もともと70パーセントくらいあった接種率が、0.6パーセントまで下がってしまった」「その後国内外の研究で安全性が確認されて、積極的勧奨が2022年度から本格的に再開したんですけど、その間接種の機会を逃してしまった方たち(1997年~2007年度生まれ)に無料で接種できる特例をもうけていて、今が最終年度です」 高島市長「効果は理解できたんですが、キャッチアップ接種が始まった経緯もいろいろ健康上の問題みたいなものがあったところからスタートしている。ここはやはり不安って思う声も多い。実際どうなんですか?」 稲葉医師「ワクチンに限らず、あらゆる医薬品を摂取した後におこる好ましくないことはいったん”有害事象”なんです。例えば病院で予防接種を受けました。その帰りに石につまずいてけがをしました。これも有害事象」「ワクチンと因果関係があるかどうかは、大規模に疫学調査をしたとき、接種した人と接種していない人で、その(症状などの)発生頻度に差があるかどうか見て、もし明らかに有意な差をもって接種した群に多ければ、それはワクチンが原因という可能性があると。そこに差がなければ、つまり接種していない人たちでも同じぐらいの頻度でそういうことが起こるということは、接種が原因とは言えないっていう判断をするんですね」「じゃああの症状はなんなの?って気になると思うんですけど、多くは”機能性身体症状”と説明されています。私たち人間は思っている以上に心と体が密接に関連する生き物。何か心に負荷がかかったときに、思いもよらない身体症状として表れることがある」「一部、予防接種関連ストレス反応というISRRという概念があるんですけど、接種の時の不安とか痛みがきっかけで動悸がしたり過呼吸になったりなどの症状が出る方もいますが、(有害事象が起きる頻度に)有意差がないということは(接種後の症状の多くは)機能性身体症状で、一部がISRRだろうというふうに言われています」