夏井いつきさんが教える、俳句を始めるのに必要な「三種の神器」
テレビ番組などで大人気の俳句の先生こと夏井いつきさんは、「俳句を始めると人生が楽しくなる」といいます。 【書影】夏井いつきさんの世界一わかりやすい俳句の授業 「日々起こること、出会うものすべてが『俳句のタネ』になって、人生から『退屈』という言葉や、『暇だ』とか『つまらない』なんて時間は、どこかに吹き飛んでしまうんです」 その言葉に心を動かされた俳句の"ど素人"である編集者が、夏井いつきさんに弟子入りすることになりました。本稿では、俳句を始めるのに必要な「三種の神器」について教えてもらいました。 ※本稿は、夏井いつき著『夏井いつきの世界一わかりやすい俳句の授業』(PHP研究所)から一部抜粋・編集したものです。
俳句を始めると人生が楽しくなる
K:夏井いつき先生の俳句の授業、いよいよ始まりました! 私、俳句の「は」の字も知らない"ど素人"ですが......、夏井先生に弟子入りさせていただきます。どうぞよろしくお願いします。 夏:こちらこそ、よろしくお願いします。それにしても、Kさん、どうして俳句をやってみようと思ったの? K:そうですね......。社会人になって十年弱、毎日充実はしているのですが、なんとなく単調で、どこか心満たされぬ思いがありまして......。 夏:あらあら。 K:そんなあるとき、テレビを観ていたら、「俳句には人生を楽しくする力がある」と熱く語る夏井先生が目に飛び込んできたんです。私、その姿にくぎづけになりまして、「やってみたい!」と思ったんです。 夏:なるほど。確かに、私の人生、これまでいろいろありましたが、喜びも怒りも悲しみも悔しさも、すべて俳句に変えて生きてきましたね。たとえ悲しいことやつらい出来事があったとしても、それを俳句にして自分の外に出すことで、大変さや心の痛みも昇華できるの。そんな不思議な力が俳句にはあるんです。 K:俳句の不思議な力......。
車が横転したことも「俳句のタネ」に!
夏:たとえば昔のことだけどね、車を運転中に後ろから追突されて、車ごと横転したことがありました。そんなときでさえ、救急車を待ちながら、「指で〇作りてわらう星月夜」って一句作っていたからね(笑)。 K:す、すごいですね! 夏:いろいろなことが起これば起こるほど、「俳句のタネ」が増える。そう考えられたら、ものすごくトクした気分になるよね。だからね、私の実体験として、「俳句には人生を楽しくする力がある」と感じていますよ。 K:なるほど! それで、さっそく私も俳句を始めてみようと思って、まずは書店に行ってみました。何かいい入門書はないかと......。 夏:いいものは見つかりました? K:それが苦戦しまして。俳句コーナーだけでも本棚二段分もあるんです......。どれがいいのかわからず、結局、夏井先生の本を一冊買って帰ってきました。 夏:お買い上げ、誠にありがとうございます(笑)。 K:はい(笑)。でも、読んで満足して、それで終わっています......。 夏:自分で俳句を作ることなく、入門書を読んだだけで、そのまま終わる。よくあるパターンね。そうね、それじゃあ、この授業で、俳句の基礎の基礎から一緒に学んで、きちんと俳句を作れるようになりましょう。 K:はい! でも、ど素人の私でも大丈夫でしょうか......? 夏:心配無用です。俳句はコツさえわかれば誰でも簡単に作れます。「センスやひらめきなんて自分にはないよ」と思っている人にこそ、やってみてほしいですね。 K:それは心強い言葉です! 夏:一時間目のテーマは、俳句を始めるのに必要な「三種の神器」です。それらをゲットしましょう。 K:「三種の神器」ですか!?