【低学年の算数力】図形や九九を学べる「算数カードゲーム」が人気のワケは? 遊び方いっぱいの魅力に迫る<初級編>
九九だけでなく数字の性格性も学べる『kukupon!(くくぽん)』【初級編】
今回カードゲームを紹介してくれた吉田先生考案の九九をベースにしたゲーム。 カードは九九カードと数字カードの2種類があり、九九を使った神経衰弱にチャレンジできる『九九あわせ』、出したカードで出来る九九はどれかを考える『九九かるた』、カードバトルで対戦できる『九九ぽん』の3つの遊び方ができます。 九九を覚えている最中の2年生にぴったりなのが、『九九あわせ』。 3の段を覚えたい場合。数字カードの「3」を表にして中心に置きます。次に右側に3の段の九九カード9枚を裏側にして並べ、左側に1~9の数字カードを裏にして並べます。 九九カード1枚をめくり、答えが「18」と書かれているカードだった場合、表になっている「3」のカードとかけて「18」になる、つまり「6」のカードを裏返しになっているカードのなかから探すのです。神経衰弱同様に間違ったら交代、次の人がまた新しいカードをめくり、プレイヤーがめくるほどにどの場所にどのカードがあるかを記憶していきます。 吉田先生 「秋から冬にかけては小学2年生がちょうど九九を学ぶ時期で、一番苦労する時期とも言えます。そんな子には神経衰弱がぴったり。九九を覚えてきたら、逆に数字カードからめくって、今度は九九カードから答えのカードを見つけるやり方も。難易度を調整し、繰り返すことで楽しみながら九九を学ぶことができます。 九九って最初はとにかく暗唱したり歌で覚えていきますが、「じゃあ3×9は?」って聞くと、習いたての子どもは流れで覚えてることが多いので3×1から言い始めるんですよね。 それだとステップアップしないので、学校ではルール上ランダムに覚えるためによく暗記カードのような計算カードを使うと思います。でもこれだと少しつまらなく感じてしまいますよね。『kukupon!(くくぽん)』ならランダムにやることになるので、必然的にその練習にもなります」 ■神経衰弱から進化したカルタ遊びは戦略性も育つ 神経衰弱から使うカードを増やして遊ぶのが『kukupon!(くくぽん)』を代表する遊びとなったカルタ。 まず九九カードをランダムに並べます。プレイヤーが2人だった場合、数字カードを半分ずつ持ち、それぞれが「kukupon!(くくぽん)」と言いながら1枚出します。そして出てきた数字、例えば「3」と「4」だったら、3×4は「12」。九九カードから「12」を探して、見つけたらそのカードをもらいます。 吉田先生「これの面白いところは一度出た九九カードはもうないということ。例えば『16』は2×8、4×4、8×2の3つの九九の答えなので、終盤にはもうないだろうと判断し、そもそも探さないという選択肢ができる戦略性も育ってきます。 また、答えを探すのは1人1枚までと決めれば、最終的な勝敗の差はわずかです。この少しだけ差がつくというのもポイントで、かるた遊びなどで結果に差がつきすぎると苛立ってしまう子でも、結果が僅差であることで、惜しかったねと前向きな気持ちで終わることができる。 実は結構そこが喜ばれるところで、『感情のコントロールが難しいお子さんが負けても、もう1回!と前向きにとらえてくれました』と、特別支援級の先生から感想をいただくことがあります。大差がついたときにありがちな『もうやりたくない』とならないのも大切です」 ■算数的な気づきを言語化したり性格性を感じる学びにも 吉田先生「算数的な気づきを言語化することにもつながります。このカードには数字に対して、その答えになる九九の式が書かれています。12が答えのカードだと、2×6、3×4、4×3、6×2と4つの式。これは先ほども話した『16』など、ゲームの後半にはもうなくなっているだろうと推察されるカード。人気のカード、仲良しのカードとかカラフルなカードって子どもたちが表現しますが、それも狙って作っています。約数が多い、割り切れる数が多いみたいなところにつながっていくので、その先の勉強にも活きてきます。 数を見たときにその数字のキャラクター、性格性を感じてほしい。こういう風に1つの数に対して式を複数つけると、その数に対するキャラクターがわかってきます。81は9×9にしか出てこないね、13は九九にないから割り切れないなとか、新しい見方を感じられます」