日本人FWの活躍が光った今季のJリーグに、セルジオ越後「うれしいことだし、メディアはもっと取り上げてほしい。川崎の山田新は日本代表入りも期待」
今季のJリーグでスゴかった選手は誰か?と聞かれれば、やっぱりアンデルソン・ロペス(横浜FM)(24点)とレオ・セアラ(C大阪)(21点)、20点超えの高いレベルで得点王を争ったふたりのブラジル人ストライカーを挙げたい。 特に、2年連続で得点王に輝いたアンデルソン・ロペスはさすがだね。昨季よりもチーム状況が悪い中、コンスタントに結果を出した。右足でも左足でも頭でも、いろいろな形で点を取れるのが彼の強み。また、そうした技術やセンスがあるのはもちろん、よく走るし、前線での守備もサボらない。真面目というよりは負けず嫌いなんだろうね。声を出してチームを引っ張る姿も印象的だった。 そんなふたりのブラジル人ストライカーの陰に隠れがちだけど、今季は得点ランキング上位に日本人選手が多く名前を連ねた。うれしいことだし、メディアももっと取り上げてほしい。 まず川崎の山田新(19点)。シーズン半ばに先発に定着すると、そこからゴールを量産した。サイズは大きくないけど(175㎝)、フィジカルが強くてスピードもある。そして、1試合に複数点を奪うことが多かったのも魅力。"固め打ち"はまぐれじゃできない。力がある証拠だ。レアンドロ・ダミアン(23年まで川崎に在籍)の存在を完全に忘れさせたよね。 山田はまだ20代前半で、ルックスもいい。来季も同じようにゴールを重ねるなら、日本代表で試してもいいんじゃないかな。 磐田のジャーメイン良(19点)も、1試合に複数点を挙げることが多かった。彼の場合は、チームが守勢に回ることが多いので、当然、チャンスも少ない。にもかかわらず、たくさん得点を決めたのは評価すべき。磐田サポーターには怒られるかもしれないけど、来季はもっと強いチームでどれだけ出来るかを見てみたい気もするね。 鈴木優磨(鹿島)(15点)、武藤嘉紀(神戸)(13点)、宇佐美貴史(G大阪)(12点)は、単に得点を決めるだけでなく、それぞれチームの看板選手として、シーズンを通してさすがの存在感を発揮した。特に、神戸ではエースの大迫勇也(11点)が昨季ほど活躍できなかったぶん、武藤の頑張りが光った。 そのほかにも、今季は二桁以上のゴールを挙げた若い選手が多かった。 神戸の宮代大聖(11点)は大迫、武藤という偉大なチームメイトがいる中、移籍1年目で結果を出した。彼は川崎の下部組織時代、同い年の山田と一緒にプレーしていたんでしょ。もし今季、川崎に残っていたらどうなっていたんだろうね。 湘南では鈴木章斗(10点)、福田翔生(10点)という若いふたりが二桁得点を挙げた。湘南は町野修斗、大橋祐紀と日本代表クラスの選手が立て続けに移籍しても、こうやってまた若い点取り屋が出てくる。大したものだよ。ただ、彼らもすぐに引き抜かれてしまうのかな。サポーターは複雑だろう。 あとは東京Vの木村勇大(10点)。J1 昇格1年目のチームは苦戦も予想されたけど、城福監督の下、素晴らしいサッカーを披露した。23歳の木村は得点ではもちろん、前線でボールをよく収めて貢献したと思う。 ゴールはサッカーの華。野球でいえばホームラン。スタンドのお客さんが一番盛り上がる瞬間だ。ぜひ来季は日本人選手が得点王を獲るところを見たいね。 構成/渡辺達也