中東の航空会社がこぞって「欧州サッカーチーム」のスポンサーになっている根本理由
中東航空、欧州クラブへ浸透
イングランドのプレミアリーグや欧州チャンピオンズリーグを見ていると、強豪チームのユニホームに「Fly Emirates」や「ETIHAD」、「Qatar Airways」といった中東の航空会社のロゴをよく見かける。 【画像】「なんとぉぉぉぉ!」これが35年前の「羽田空港」です! 画像で見る(18枚) これらのスポンサーシップは2000年代以降に始まり、現在では欧州全域に広がっており、単なるユニホームスポンサーにとどまらず、さまざまなキャンペーンも展開されるようになっている。 では、中東の航空会社が欧州のビッグクラブを支援し始めた背景と、現在どれくらいの影響力を持っているのか。本稿で簡単に解説する。
サッカー界の支配力
中東の航空会社がサッカーチームに対していかに大きな影響力を持っているかを示す例として、スペインのウェブメディア「Finance Football」に掲載された、2024~2025年シーズンのユニホームスポンサー金額ランキングを見てみよう。 ・1位:エミレーツ航空とレアル・マドリード(約7600万ドル)★ ・2位:スポティファイ(音楽配信)とバルセロナ(約7000万ドル) ・2位:スナップドラゴン(半導体)とマンチェスター・ユナイテッド(約7000万ドル) ・4位:カタール航空とパリ・サンジェルマン(約8000万ドル)★ ・5位:エティハド航空とマンチェスター・シティ(約6850万ドル)★ ・6位:スタンダード・チャータード(金融)とリバプール(約5850万ドル) ・6位:エミレーツ航空とアーセナル(約5850万ドル)★ ・8位:Tモバイル(通信)とバイエルン・ミュンヘン(約5000万ドル) ・9位:AIA(保険)とトッテナム(約4500万ドル) ・10位:リヤド航空とアトレティコ・マドリード(約4000万ドル)★ 上位10位のうち、実に五つが中東の航空会社による契約となっている(★。いずれも数年単位の複数年契約)。エミレーツ航空は唯一ふたつのクラブと契約しており、さらにイタリアのACミラン、ポルトガルのベンフィカ、フランスのオリンピック・リヨンともスポンサー契約を結んでおり、強い影響力を誇る。 特にアーセナルとの契約は2006年から始まり、2028年まで続く長期契約となっている。この契約はプレミアリーグ全クラブの中で最も長いものであり、ホームスタジアムの名称にも影響を与えるほど重要な関係だ。 本拠地のスタジアム名にもなっているのが、5位のエティハド航空だ。マンチェスター・シティはこの20年で力をつけ、欧州屈指のクラブに成長したが、2003年に設立されたエティハド航空とのタイアップは、両者の躍進を象徴する関係となっている。 エミレーツ航空とエティハド航空のライバルであるカタール航空は、カタール政府が支援するパリ・サンジェルマンに巨額の資金を提供しており、同社はかつてFCバルセロナのユニホームスポンサーでもあった。また、現在では国際サッカー連盟(FIFA)ワールドカップのメインスポンサーのひとつとしても有名だ。 さらに、10位にランクインしているリヤド航空は、サウジアラビア政府の改革プラン「ビジョン2030」に基づいて設立された航空会社で、2025年に就航予定だ。現時点では路線がないが、運航開始後には一気に知名度を上げ、ドバイやドーハに負けないハブを作ることを目的としている。そのため、数十億円規模の高額なスポンサー契約を結んでいる。 また、トルコ航空も欧州サッカー連盟(UEFA) EUROや欧州チャンピオンズリーグのスポンサーとして知られている。