人気スター・田中将大が〝敬遠〟される理由 「全盛期の怖さない」「パワハラ騒動」もネックに
マー君の「次」は、やはりイバラの道なのか。日本野球機構(NPB)は2日、来季の契約保留選手名簿と自由契約選手を公示。楽天を退団し、他球団への移籍を目指す田中将大投手(36)は自由契約となった。日米通算197勝をマークしている大物右腕の新天地にはヤクルトが浮上しているものの、具体的な進展はほとんどなく停滞したまま。同一リーグのパ5球団に至っては、ソッポを向いているのが現状だ。人気スターであるはずの田中が、ナゼか〝敬遠〟されている理由とは――。 【写真】ヤンキース時代の田中将大 日米通算200勝にあと3勝と迫りながら、楽天から電撃退団の意向を表明した田中の新天地は、ヤクルト一択となるのだろうか。だが同球団の小川GMは、先月28日の時点で先走る一連の報道にくぎを刺すかのように各メディアに対し、田中について「獲得に向けた調査をしている段階ではない」とコメント。ソフトバンクから国内FA権を行使した石川柊太投手(32)の獲得を最優先としていることから、あくまでも現段階では無関心の姿勢を強調している。 その他の球団の反応も鈍い。先月24日に楽天を退団することが球団側と本人から発表されて以降も〝田中争奪戦〟は勃発していないのが現状だ。 セ・リーグで豊富な資金力を誇る巨人、阪神は両球団の関係者が田中獲得をやんわりと否定。パ・リーグのライバル5球団も一様に静観を決め込んでいる。実際にソフトバンク・三笠GMは田中獲得の可能性について問われた際に「補強ポイントは投手力ですが、ちょっと対象になる獲得の可能性は今のところないかなと思っています」と言い切っている。 近年はオフの間に〝ベテラン投手コレクター〟としてストーブリーグをにぎわせ続けてきた西武も同様だ。2018年オフにFAで巨人へ移籍した炭谷(現西武)の人的補償で、内海哲也投手(当時36歳=現巨人投手コーチ)を獲得。翌19年オフには中日を自由契約となったレジェンド・松坂大輔投手(当時39歳=現引退)を出戻りで迎え入れた。そして昨オフもFAでソフトバンクへ移籍した山川の人的補償に和田毅投手(43=今季限りで引退)を一時指名しかけたことが明るみとなり、大騒ぎになったのは記憶に新しい。 こうした背景があった西武だからこそ、当初は最有力候補として「マー君の獲得にはいち早く名乗りを上げるのではないか」と見る向きもあった。ところが、先月25日に広池球団本部副本部長が早々に「現段階ではそんなに前向きには考えてはないという感じです」と述べ、あっさりと否定している。 メジャーから帰国した楽天・田中の4年間は20勝33敗、防御率3・73。対戦相手として田中の現状を十分に把握するパ某球団の編成関係者は、「力勝負のできなくなった現在の田中に全盛期の怖さはない。変化球の見極めだけで対応できる現状に戦力としての魅力は乏しい」と厳しい分析。また「若手の手本」としての田中の評価に関しても、「昨年オフにパワハラ騒動で楽天を退団に追い込まれた安楽(智大投手=26、現メキシコシティ・レッドデビルズ)と一時自主トレも行うなど良好な関係を築いていた事実もあって正直、そこをどう評価すればいいのか。〝見えにくい性格の部分〟がネックとなっている感は否めない」。 その上で「田中を獲得して万が一、チーム内の若手が萎縮してしまっては元も子もない。また彼の過去の実績が素晴らしいことから、これまでを知らない現場のコーチ陣もどう扱っていいのか分からない部分も出てくるだろう。戦力として獲る以上、結果が出なかった時に現場に与えるマイナスの影響も考えなくてはいけない」と本音も漏らした。 セに比べて圧倒的に対戦経験の多い同一リーグ・パ球団関係者の言葉には、説得力と重みがある。投手・田中の〝真の力量〟を知り尽くす他球団の編成担当者たちが獲得について、一様に及び腰となっている現実が浮き彫りになりつつある。 果たして田中はこの逆風を乗り越え、新天地で奇跡の復活と200勝達成を成し遂げられるのだろうか。
東スポWEB