月保険、宇宙エレベーター建設構想 裾野広がる宇宙関連産業、巨大市場に大手企業続々
ロケット打ち上げ拠点として注目を集める北海道で参入企業の裾野が広がっている。10月上旬に帯広市で開催された「北海道宇宙サミット2024」では、ロケットや衛星、打ち上げ技術など直接かかわる事業者以外にも、旅行や損害保険、製紙業など多様な企業が出展した。北海道での宇宙事業に伴い、国内で10年間に4千億円近い経済波及効果があるとの試算も示されており、注目度はさらに高まりそうだ。 【写真】さまざまな企業が出展した北海道宇宙サミットのブースエリア ■大手企業も宇宙に関心 北海道宇宙サミットは今年で4回目。帯広市内の会場には約800人が集まり、オンライン参加を加えると約2100人がこのサミットに関心を寄せた。 会場では宇宙事業に参画している企業関係者らが登壇し、将来の可能性などをテーマに活発に意見交換した。企業ブースではスポンサーを含めた25社・団体が自社製品などをアピールした。実行委員会構成メンバーの大樹(たいき)町の担当者は「今回も大きな反響があった」と手応えを語る。 出展企業の内容はユニークだ。多くは打ち上げロケット部品の研究開発や自社開発したソフトウエアなどだが、三井住友海上火災保険は、打ち上げから月面着陸までを補償する「月保険」や「宇宙事業者向け総合支援サービス」をはじめ、将来の商用宇宙旅行を見越して開発中の「宇宙旅行保険」などをPR。日本旅行も将来構想で掲げる「宇宙渡航サービス」の旅行プランをイメージしたチラシを配布し、一歩先を見据えた取り組みとして紹介した。 大手ゼネコンの大林組は2050年を目標としている未来の宇宙交通輸送システム「宇宙エレベーター建設構想」を示し、未来を先取りした取り組みとして存在感をアピール。 さらに大手製紙メーカーの日本製紙は、関連会社が持つ建設やインフラ、メンテナンスなどの技術力を活用したロケット製造支援や部品物流支援などの潜在能力をPRした。同社の担当者は「技術を応用することで宇宙ビジネスに間接的にかかわれる」とし、他企業と一線を画した新しい視点での挑戦を強調する。 ■実用化は射程圏内