「こんな終わり方あるのか」競輪記者が見た新旧S班“天国と地獄”の舞台裏/KEIRINグランプリ2024
前年GPチャンピオン松浦、S班陥落の瞬間は...
松本 S班から陥落した選手にも触れましょう。なんと言っても松浦悠士。 松井 去年のグランプリチャンピオン。 前田 陥落の原因は落車のケガ。それがなければ、賞金ではグランプリに行けるレベルだったんでしょうけど。 松本 最後の最後、競輪祭での状態を見たらね。 前田 だから、松浦は大丈夫じゃないかな。 松井 去年のグランプリも今年の競輪祭も、やっぱり松浦はちゃんと戻してくるね。優勝してもおかしくないデキまで。競輪祭は4連勝で決勝でしょ。 松本 S級S班、グランプリ王者という立場で大変な部分もあって。目立つし狙われる部分もありましたし。アクシデントも多かったけど、最終的には修正力を発揮しました。来年はS級1班になって、今年の郡司みたいにGI一発目の全日本選抜でいきなり優勝したりして、S級S班に返り咲いて欲しい。 松井 彼は、11か月走れればグランプリに乗れるよ。 松本 来年はS班復帰を決めて、12月に再開予定の広島競輪場で地元記念を走ってグランプリという復活ロードを見せて欲しいですね。 松井 競輪祭決勝を走り終えた直後の松浦は、サバサバしていたね。 松本 残り1か月を「楽しみたい」って言ってましたよね。 前田 「チクショー」とかではまったくなくて。人格者ですね。
48歳・佐藤の限界突破に期待! 山口は競輪祭で走りに変化
松本 佐藤慎太郎も苦しい1年でした。 前田 GIの決勝に乗ってチャンスがあっただけに...。オールスターでは「勝てる!」まであったと思ったけど。勝ち切れなかった、という表現がS班から陥落した現実なのかな。限界ではなく現実。来年やってくれると思いますよ。 松井 北日本は新田祐大が失格しちゃって心配だけど、新山がいるし、中野慎詞も頑張ってくれれば。選手は揃ってるから。 松本 中野慎詞という存在は慎太郎さんにとっては大きいんじゃないですかね。それから番組も、これまではS班同士で新山と準決勝へ進めないとか、そういうのもあったけど、逆にS級1班になって、そういった面も解消される。慎太郎さんのGI優勝を待ち望んでるファンがいますので。 松井 GIは2003年の全日本選抜競輪の1回しか獲ってないんだもんね。 松本 松本整さんを超えるGI最年長優勝記録を出せるのは慎太郎さんじゃないですかね。 前田 ぜひとも来年はやってもらいましょう。限界を突破してもらいましょう。 松本 そして山口拳矢。 前田 ときどき病気になったりケガしたりして「あれ、拳矢いなくなってるよ」っていうのがあって、ずっとリズムを生めていない状況。GIではダービーだけはなんとか決勝に乗りましたけど。 松井 プレッシャーも感じないし強心臓なんだけど、今年はさすがに堪えてたね。自分以外のSSがみんな準決勝まで行って、自分だけ二次予選で負けちゃうとか、そういうのが続いて。 前田 ずっと乗り切れない。どこかでポンと波に乗れればそこから活躍があったんでしょうけど。苦しい1年だった。 松井 やっぱり競走スタイルが、先行というより捲りや位置取りで戦う選手だからファンのウケが悪い部分もあって。先行でのし上がってタイトルを獲るというよりは、ラッキーパンチじゃないけど...それが今時なのかもしれないし。だから、落ちた時の立て直しが難しいんだろうね。 前田 であれば、古性までとは言わないけど、位置取りを厳しくしないといけなかったとか、課題が残ったんでしょうね。 松井 そうだね、もっと逃げるとか、もっとヨコをやるとか、もっともっと何かが必要なんだろうね。 松本 だから、山口はちょっとレースが変わったじゃないですか。競輪祭でもすごく来年を見据えているレースをしているなって。S級S班から落ちたことで、また違うレースができるようになるんじゃないかな。自分の見せ方をもう一度ブランディングしていくということを。