「こんな終わり方あるのか」競輪記者が見た新旧S班“天国と地獄”の舞台裏/KEIRINグランプリ2024
前半戦で話題さらった清水、GII連続Vの眞杉
松本 そして賞金でグランプリ出場を決めた眞杉匠、清水裕友、新山響平。この3人は去年に続きS級S班を維持しました。 松井 前半ケガして出遅れたけど、眞杉はとにかく9月の共同通信社杯(GII)だったね。決勝の一発。南修二の内をしゃくって古性を飲み込んでっていうのは、普通の選手じゃ絶対できない。ゾーンに入ってるレースだったね。 前田 暴走族のフルスロットルみたいな(笑)。 松本 眞杉は1月の自分の祝勝会の前に練習中に落車して…。腕を吊って祝勝会に出た選手なんて後にも先にもいないんじゃないかな。 前田 あの写真には笑ってしまった(笑)。 松本 眞杉のヤンチャぶりというか、普段の練習でもゴリゴリ並走するという話は聞きましたけどね。春先はどうなっちゃうのかなと思ったけれど、尻上がりに調子を上げていって。共同通信社杯は地元の宇都宮でしたし。 松井 眞杉のモチベーション的によかったよね。そこにちゃんとピントを持っていけた。 松本 2002年の宇都宮での共同を優勝したのが神山雄一郎さん。それから22年ぶりに宇都宮での共同を眞杉が勝ちました。彼もすごく「持っている」と思った開催でしたね。 松井 今年の前半は清水裕友が話題を独占したんじゃない? 前田 走りっぷり、内容、結果も伴って。 松井 地元が3、4人固まったって全部清水がやっつけちゃった。 松本 ヒールを演じましたね。大宮記念も静岡記念も。アウェーで勝って、全日本選抜も準優勝。今年も安泰だなと思ったんですが...。 松井 本人が苦手としている夏場はまあまあだったけど、その後のケガが大きかったね。 松本 共同通信社杯の落車。 前田 地元の防府記念や競輪祭は、相当ダメージがあったような印象になっちゃいましたけど。 松本 防府記念は7連覇できなかったことで肩の荷は降りたのかもしれないけど、やっぱりショックも大きかったのですかね。前田君は、リニューアル後の防府記念を走った清水を見ていたわけだけど。 前田 顔色がずっと悪かった。 松本 プレッシャーと、整ってない状況でも期待に応えなくてはいけないっていう。 前田 審議になったのは二次予選かな。失格にはならずにセーフでしたけど、「首の皮ほんの一枚繋がった感じ」って言ったので「首が太いから大丈夫だよ」と返したら、ちょっと笑ってくれた(笑)。 松本 記者ができることはそれぐらいしかないかもね。 前田 本人はヒリヒリもしてないし、しっかり臨めているんだろうけど、やっぱり抱えているものは誰にもわからないぐらい大きかったのでしょうね。決勝が終わった後に感じました。 松本 今回、清水は単騎のグランプリになりました。この選手は、単騎の方が怖いんじゃないかな。 松井 2018年の静岡大会が清水のグランプリ初出場だよね。そのときも単騎で6番車だった。今回の抽選順を見ると、清水が6番車になる可能性は高いんじゃないかと思って。本当にそうなったら、ちょっとドラマがありそうだよね。